東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続伸となりました。149円高の39,496円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで302円高の39,649円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと11時10分前に129円高の39,476円まで上げ幅を縮めました。しかし、その後持ち直すと後場に入って一段高となり426円高の39,773円で取引を終え高値引けとなりました。こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

信越化学工業(4063)が4.4%高となりました。フォトレジスト(感光材)や原版材料といった半導体ウエハーに回路を描く露光工程で使う材料を生産する新工場を群馬県につくると伝わったことで将来の収益拡大を期待した買いが入りました。住友金属鉱山(5713)も4.8%高となり年初来高値を更新しました。8日のニューヨークの金先物相場が最高値を更新したことで鹿児島県にある菱刈鉱山で金を産出している住友金属鉱山に物色の矛先が向かいました。楽天グループ(4755)も一時3.6%高となり年初来高値を更新しました。傘下の楽天モバイルの携帯キャリアサービス(MNO)の契約回線数が650万件を超えたと発表したことを好感した買いが入りました。クリエイトSDホールディングス(3148)も一時7.8%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス感染対策向けの商品需要が減ったものの、行動規制緩和に伴いかぜ薬や化粧品が好調だったことなどにより通期の業績予想を上方修正したことから大幅高となりました。リソー教育(4714)も35.9%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。ヒューリック(3003)がTOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資を組み合わせ、リソー教育を連結子会社化すると発表したことでTOB価格にさや寄せする格好で上げ幅を広げました。一方でローム(6963)が一時7.3%安となり年初来安値を更新しました。ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債)を発行し2000億円を調達すると発表したことで将来的な希薄化や需給悪化を警戒した売りが出ました。本決算を発表したウエルシアホールディングス(3141)も一時4.0%安となりました。プライベートブランド(PB)の販売を強化することなどで2025年2月期の営業利益が前期比で8.7%増となる見通しを示しましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は426円高となりました。ドル円が引き続き151円台後半の円安水準で推移していることや、昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が小幅ながら上昇となったことなどから買いが優勢となりました。前場は伸び悩む場面もありましたが、大きく押すことなく堅調に推移すると後場に入って一段高となり先週に割り込んだ25日移動平均線(39,753円)を小幅に上回って取引を終えました。そのため目先の調整一巡との見方も出てきそうです。なお、2月決算企業の本決算発表が続いています。本日も引け後にはイオンモール(8905)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)