ESG、エコの観点からホテルのアメニティが簡素化され、コストを抑えたビジネスホテルでは部屋には櫛も歯ブラシもなく、フロントで必要なものだけをセレクトするスタイルが定着しています。どうせ使わないミニ美容液セット、シャンプーセットなどがあっても家に持ち帰ってコレクション化するだけですし、そもそも今どき女性にT字カミソリは必要ありません。無駄を省くこのスタイルには賛成ですし、すっかり慣れたつもりでいました。

ところが、週末仕事で宿泊した京都のホテルでのこと。湯船に湯を張り、疲れを癒そうと全てを脱ぎ捨ててから部屋にナイトウェアがないことに気が付きました。シャンプーも化粧水も歯ブラシも自身のモノを持ち歩いているので、ほとんどホテルのものを使うことはないのですが、ナイトウェアだけはホテルのものを使うことにしています。仕事で使用するワンピース、ジャケットなど嵩張る衣類がキャリーケースを支配してしまうため、寝巻を持ち歩く余裕がないのです。部屋のどこを探してもないので、脱ぎ捨てた服を再び纏ってフロントにナイトウェアを取りに行く羽目となりました。

しかしよくよくエレベーター内の張り紙を見ると、3月21日から部屋へのナイトウェア提供を取りやめます、と書いてあります。すっかり見逃していました。ホテル側が忘れていたというわけではなさそうです。わずか3日前にルール変更があったようです。翌朝、チェックアウトの際に改めてなぜ部屋にナイトウェアを置くのをやめたのかを伺うと「数が足りないのです」との回答。瞬間、数が足りないのなら発注すればいいじゃない?と怪訝に思ったのが顔に出たのか、「部屋にセットしても使わないお客様が増えているのです」と続けて説明がありました。なるほど、使われなくても一度部屋にセットして提供してしまったら、クリーニングしなくてはいけないですね、そのコストはカットできる。ここで腑に落ちたのですが、聞けば外国からの宿泊客はほとんどナイトウェアを使わないのだそうです。自身のナイトウェアをお持ちのケースが多いとか。

この時のホテルの宿泊客も8割方外国人ではないか、という印象でしたが、ホテルのルールもこうして変わっているのですね。今後は、部屋にナイトウェアがセットされているか必ず確認してからお風呂に入ることにします。