今週の日銀の金融政策決定会合、マイナス金利解除はすでに市場では織り込み済み

言うまでもなく、今週最大の焦点は18-19日に開催される日銀の金融政策決定会合だ。しかし、おそらく日銀のマイナス金利解除はすでに市場では織り込み済みで相場の材料にはならないのではないか。先週3月15日のストラテジーレポート『調整一巡感も ファンダメンタルズ面の乖離是正を待つ局面』でも書いた通り、正式に政策変更が公表される時には市場は株高・円安方向に動くだろう。

日経新聞は16日土曜日の朝刊1面トップで、「マイナス金利政策を解除する見通しになった」と報じた。日銀はブラックアウト期間に入っているので日銀筋からのリークではない。日銀が重要な政策変更をする場合、政府にお伺いを立てる。今回のリークは政府筋 - おそらく財務省あたり - から漏れたものだろう。前回のYCC(イールドカーブ・コントロール)修正の時も同じパターンだったが、このニュースは電子版ですでに米東部時間15日の段階で市場に伝わっており、それでも15日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続落し、前日比80銭円安・ドル高の1ドル149円05~15銭で取引を終えている。反応は極めて限定的だった。このことから、日銀のマイナス金利解除はすでに市場では織り込み済みと判断できる。

15日の米国株相場は米金利上昇を嫌気して主要3指数とも下落したが、日経平均の先物は夜間取引・シカゴCMEとも円安を好感して上昇している。「正式に政策変更が公表される時には市場は株高・円安方向に動くだろう」と上述したが、すでにそのような動きになっているようだ。

波乱の芽は日銀会合よりもFOMCか

波乱の芽は今後の金融政策に関する市場とのコミュニケーションだ。マイナス金利を解除した後、それに続く利上げを急がないとのメッセージが日銀から出されるか、市場がそれをうまく受け止めることができるか、要注目である。

18-19日の日銀・金融政策決定会合に続いて19-20日は米FOMC(米連邦公開市場委員会)。市場は6月からの利下げ開始を織り込むが、果たしてその観測が修正されるか、今回のドットチャートは非常に重要だ。直前の物価指標、CPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)は強含んでおり予断を許さない。波乱の芽は日銀会合よりもFOMCかもしれない。

中銀ウィークを仮に無難に乗り切ったとしても、年度末の需給イベントが待っている。当面、波乱含みの展開に備えておこう。

予想レンジは3万8000円~4万円とする。