米ドル/円 週間予想レンジ:146.50~150.50

メインストラテジー:頭打ちの気配、今後は調整(反落)段階か

・頭打ちされた構造を一旦示す
・日銀政策に関する憶測に左右される市場

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週の米ドル/円相場は反落し、陰線で大引けした。一旦149.21円まで下落し、頭打ちの構造を示したことから、これから調整(反落)しやすい時期に入っていくと考えられる。

先々週まで高値圏にて小幅変動し、堅調さを維持しながらも値幅は限定的だったうえ、高値更新できなかったことがその兆しである。なぜなら、年初来一貫した上昇が続いて先々週まで続伸しており、一旦150.90円の打診をもって強気変動を示唆していたため、高値更新があっても自然ななりゆきだと思われた。

しかし、筆者は慎重な見方を維持してきた。一気に151円手前まで急伸しただけに、高値追いも避けたほうが良いと繰り返し指摘してきた。そして、先週の反落は頭打ちの前兆とみるべきだ。

米金利の切り返しで日米金利差は拡大してきた。しかし、金利差だけで151円近くまで上昇した米ドル/円の値動きを説明することはできなかった。なぜなら、米ドル/円は、日米金利差以上の上昇幅を達成していたからだ。そのため、高値を追えなかった。この意味合いにおいては、先週日米金利の縮小があったことで、本来米ドル/円の反落幅が拡大されてもおかしくなかった。

先週浮上してきた大きな材料としては、日銀政策に関する憶測である。日銀の高田審議委員の発言は、早期に政策修正の可能性があると解釈された。植田総裁の否定発言があっても、市場参加者の多くは疑心暗鬼となり、その可能性を警戒しているように見える。

その分、円売りポジションの決済が見られ、日足では大きなサインを点灯していた。それは他ならぬ、2月13日の大陽線を「母線」とした「インサイド」のサイン(2月28日まで)が2月29日の陰線をもって下放れされたことだ。すぐにトレンドが反転することはないと思うが、頭の重い構造が確認された、という理解は正しいだろう。

もっとも、テクニカルの視点では、年初来の強気変動が一貫して継続しており、2月安値の水準が145円後半に留まったことが大きなポイントだった。それは1月5日の「スパイクハイ」の高値が示した元抵抗の水準であったため、調整変動の終焉があれば、内部構造の強さを示唆する存在であった。だからこそ、米ドル/円の切り返しが強かったわけだ。

2月2日の大陽線は前後の日足に比べ値幅が拡大していたため、事実上の「長大線」となったわけだ。その後上放れがあって保ち合いの終焉を示し、また一段と上値余地を拡大し、「倍返し」の計算では151円手前までの上昇があっても一応許容範囲内だった。しかし、やはり151円を乗せず、先週の反落があったことで、その切り返しを一服させたと考えられる。

さらに、より長いスパンで考えた場合、2023年高値を更新していく、というシナリオに現実的ではないだろう。米ドル/円の長期スパンにおける8年サイクルの制限がなお有効であれば、2023年の高値をもってすでにトップアウトし、今後2、3年の反落周期が想定される。

だからこそ、再度頭打ちがあり、またそのサインを見逃せない。先週のサインに鑑み、今週は米ドル/円の続落ありと判断する。なお、高値圏でのレンジ内とはいえ、戻り売りのスタンスで臨みたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:97.00~99.50

メインストラテジー:上放れでも再度頭は重くなる見通し

・上放れでも再度高値は追えず
・100円大台の達成があっても後ずれの見通し

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週反落し、上昇トレンドの進行を一服させた。本来であれば、100円心理大台の直接打診があってもおかしくなかったが、先週の反落でその流れが一旦緩和され、同大台の打診があっても後ずれになる見通しだ。

先々週は大きく続伸し、99円に一旦トライした。本来高値を追う段階にあり、先週も続伸する公算が大きく、100円心理大台の通過を有力視していた。

しかし、先週日銀の高田審議委員の発言で日銀による早期政策修正の憶測が出回り、円売りポジションの決済を促した模様だ。この影響は当面続くと思われ、しばらく豪ドル/円も頭が重くなる見通しである。ただし、米ドル/円と違って、豪ドル/円は頭打ちの可能性は低く、あくまで上昇一幅として、再度スピード調整になる公算が大きい。

豪ドル/円は強気基調を保ち、また構造上のメリットがある。改めて振り返ると、2月中旬(2月12日~)の値動きが重要であった。同週に98.28円の高値打診をもってレンジ変動が終焉し、すでに上放れを果たしたことを示したため、先々週のさらなる上値トライに繋がったわけだ。

なぜなら、2月半ばまで豪ドル/円は98円の大台を突破できずにいた。そのため、2月最初の週まで、ロング筋の力尽くしが観察され、一気に急落していた。また、ロングポジションの狼狽決済をもたらしたとも推測された。

しかし、2月1日の日足自体が典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、年初来安値を更新しただけに、その大引けが高く、「フォールス・ブレイクアウト」の可能性を暗示していた。その後の切り返しも順調で、またその後98円のブレイクをもって強気変動への復帰を示し、前述のサイン(フォールス・ブレイクアウト)の蓋然性を証明した。

従って、上値トライの後ずれがあったものの、上値志向自体は維持される、というロジックが証明され、また中段保ち合いの延長や再構築があったからこそ、上値トライ自体が一段と上昇モメンタムの増加や上値ターゲットの上方修正に繋がった。そのため、先々週の99円の打診があってもそれはあくまで通過点であり、今後100円心理大台の打診をなお有力視している。

言い換えれば、前述のフォールス・ブレイクアウトのサインが本物である以上、今週豪ドル/円の頭が重いことが推測されても、あくまで中段保ち合いにすぎず、整理してからまた上値トライをできると見ている。言ってみれば、今は基盤を固める段階だろう。

そもそも、豪ドル/円の回復ぶりは常に想定より早かったことも強気構造を固めた。2023年12月7日に急落し、一旦94円を割り込んだのは、米ドル/円の変動につられた値動きだった。大きく反落しただけに、基調が一旦「崩れ」、回復に時間がかかると思われたが、実際は想定より早期に回復し、強気構造を暗示していた。

このような構造も先々週の値動きによって証明されたことから、大きな視点で見ると整合性があった。そのため、近々また保ち合いがあっても、必要以上に弱気になる必要はなく、あくまで押し目買いのスタンスで臨みたい。