米グーグルの持ち株会社、米アルファベット[GOOGL]が2024年1月30日に発表した2023年10―12月期決算は、売上高が前年同期比13%増の863億1000万ドル(約12兆7100億円)、純利益が同52%増の206億8700万ドル(約3兆500億円)だった。売上高、純利益ともに四半期として過去最高を更新した。

【図表1】アルファベット 四半期売上高が過去最高を更新~3四半期連続の増益確保
 

ネット広告11%増も市場予想に届かず

1株利益は1.64ドル(前年同期は1.05ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。クラウドサービス事業の売上高は25%以上伸び、市場予想を上回った。一方、主力のインターネット広告事業の伸びが市場予想に届かず、1月30日の米株式市場の時間外取引でアルファベットの株価は一時、5%以上下落した。

主力のインターネット広告事業の売上高は、前年同期比約11%増の655億1700万ドル(約9兆6500億円)となり、3四半期連続の増収。増収率は前四半期の9.5%を上回った。

インターネット広告売上高の内訳は、検索連動広告が480億2000万ドル(約7兆700億円)で同12.7%増加した。動画共有サービス「YouTube(ユーチューブ)」は、同15.5%増の92億ドル(約1兆3500億円)で、3四半期連続の増収となった。YouTubeの増収率は前四半期の12.5%を上回った。グーグル広告ネットワークは、同2.1%減の82億9700万ドル(約1兆2200億円)だった。これらを含めたグーグル・サービスの売上高は同12.5%増の763億1100万ドル(約11兆2400億円)だった。

クラウド事業の売上高は25.6%増

AI(人工知能)の活用など、新たな事業戦略の中心と位置付けるクラウドコンピューティング事業の売上高は前年同期から25.6%増の91億9200万ドル(約1兆3500億円)で、市場予想を上回った。同事業の営業損益は8億6400万ドルの黒字(約1300億円)。前年同期は1億8600万ドル(約274億円)の赤字だった。

【図表2】アルファベット クラウド事業25.6%増収、ネット広告は市場予想に届かず
 

AIを巡る競争が激化し、グーグルは2部門を統合

米マイクロソフトが資本・業務提携する米オープンAIが対話AI「ChatGPT(チャットGPT)」を公開して以降、AIを巡る競争が激化しており、グーグルは2部門を統合し、これらに対抗した。2023年には対話AI「Bard(バード)」や、その技術基盤である大規模言語モデル(LLM)「Gemini(ジェミニ)」などを開発。これらにより、マイクロソフトやオープンAIなどに追いつく狙いだ。

ピチャイCEO「AI投資とイノベーションの恩恵を受け、今後も更なる進化」

スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は声明で、「検索の継続的な強さと、YouTubeとクラウドからもたらされる成長に満足している。これらのすべては、すでに当社のAI投資とイノベーションの恩恵を受けている。Gemini時代を迎え、今後もさらなる進化が期待される」と述べた。

2023年12月末時点の従業員数は18万2,502人で、1年前から約7,700人近く減った。米CNBCは2024年1月中旬、グーグルが数百人規模の人員を削減すると報じた。音声アシスタントの「Google Assistant」やハードウエア、ソフトウエアツールなどを開発する技術者などが対象になる。この整理解雇(リストラ)は、新型コロナウイルス下のネットサービス需要増で、急増した従業員を調整する取り組みの一環とみられる。同社は2023年1月、グループ全体で約1万2000人を削減すると発表した。

(1ドル=147.24円で換算)