モトリーフール米国本社、2024年1月16日投稿記事より

主なポイント

・ズーム・ビデオ・コミュニケーションズはコロナ禍後の低迷からまだ立ち直っていない
・ビデオ会議ビジネスにおける同社の競争優位性は低い
・アーク社は、新たな事業がこの問題を解決すると期待している

ハイテク投資家として有名なキャシー・ウッド氏は、人工知能(AI)がズーム・ビデオ・コミュニケーションズの今後の成長のカギを握ると考えている

ビデオ会議サービスを手掛けるズーム・ビデオ・コミュニケーションズ[ZM]の現在の株価は70ドルであり、2020年後半に付けた最高値の568ドルから大幅に下落しています。コロナ禍でもてはやされた同社は成長が停滞し、マイクロソフト[MSFT]のTeamsやアルファベット[GOOGL]のGoogle Meetといった競合プラットフォームとの差別化に苦戦しています。

しかし、ハイテク投資家として知られるキャシー・ウッド氏は、新たな機会を取り込むことで、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの未来は劇的に変わる可能性があると見ています。苦境に陥っている同社にどんな未来が予想できるのかを探ってみましょう。

ウッド氏の見解とその予想

ウッド氏が率いる資産運用会社アーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)は、2014年の設立以来、技術革新やアイデアで業界の状況を打破し塗り替えて並外れたリターンを生み出す可能性を持つ「破壊的イノベーション」に焦点を当てることで一躍有名になりました。

同氏はズーム・ビデオ・コミュニケーションズが、成長を重視したアーク社の積極的な投資戦略に合致すると考えています。アーク社は2023年11月に、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株式1,260万ドルを追加購入し、保有総額は今や7億1,200万ドルに達しています。

アーク社はズーム・ビデオ・コミュニケーションズの短期的な可能性を大いに楽観視しており、2026年の目標株価を1,500ドルとしています。これは、わずか2年間で2,000%を超える上昇を意味します。ウッド氏とそのチームは、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが新たな製品/サービスや人工知能(AI)機能を導入することで、ユーザー1人当たり平均売上高を飛躍的に増加させることで、これを実現できると考えています。

アーク社の予想は楽観的過ぎるのかもしれないと考える理由

表面的には、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズはさまざまな方法で自社のプラットフォームにAI技術を実装することが可能で、会議の要約、チャットツール、翻訳といった機能をすでに導入しています。また、膨大なユーザーデータを活用して大規模言語モデルをトレーニングすることもできます。しかし、こうした取り組みが同社の未来を様変わりさせるのは難しいかもしれません。

なぜなら、競合企業もAIを導入する可能性があります。また、新たな機能によって、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは競争が激化する市場で生き残ることはできるかもしれませんが、新機能がすぐに収益につながるとは限りません。今のところ、AIをめぐるゴールドラッシュの最大の勝ち組は、それを動かす道具側(エヌビディア[NVDA]などのハードウェア企業)であり、消費者向けのソフトウェアは全体的に見て、まだ可能性を十分に発揮していません。

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの直近の決算は、新機能があるにもかかわらず、目先の業績が振るわないことを示しています。2023年8-10月期(2024年1月期第3四半期)の売上高は11億4,000万ドルで、前年同期比でわずか3.2%の伸びにとどまりました。低成長は、同社が他社との競争とコロナ禍後の在宅勤務の減少という課題に直面していることを浮き彫りにしています。また、AIへの新たな取り組みも、核心的な問題の解決にはなっていないようです。

2年後のズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価はどうなっているか

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズをめぐる好材料は、第3四半期に1億4,120万ドルの純利益を生み出したことです。これは、生き残るために必ずしも目覚ましい成長を必要としない規模に到達したことを意味します。新たな機会に投資する資金的余裕もあります。株価のバリュエーションは低く、予想株価収益率(PER)は15倍と、ナスダック総合指数の29倍を大きく下回ります。

ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株価は、割安だと考えらえます。今後2年間で、より楽観的なバリュエーションに向かうかもしれません。一方で、ウッド氏の予測は希望的観測にすぎないという見方もあります。競争優位性の低さと競争の激化という、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの核心的問題は何も変わっていません。そして、AIソフトウェアに投資するなら、もっと良い選択肢はいくらでもあるかもしれないということです。

何かが劇的に変化しない限り、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ株の購入には慎重である方が良いのかもしれません。

免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Will Ebiefungは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、エヌビディア、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。