「抜けたら速い」の典型例の相場、利食い売りでさらに拍車がかかる

北陸の地震、羽田空港での日航機炎上と波乱の幕開けとなった2024年の株式相場。大発会からわずか数営業日でここまで上昇するとは誰が想像しただろう。連日の急騰で大台を次々と塗り替え、今日の寄り付き直後には3万5800円台まで上昇した。今日はオプションのSQ算出日で、「幻のSQ」ながらSQ値は3万6000円だったとの試算もある。

この相場、「抜けたら速い」の典型例だ。「バブル後高値」「33年ぶり高値」とは言うものの、実質的には「最高値」だ。これより上値で買っている人は(実質的に)いないのだから、戻り待ちは出てこない。売りはすべて利食い売りだから、回転の効いた相場に拍車をかける。

年が替わったことも大きい。新NISAのスタートや2023年末にポジションをクローズしたファンドの投資再開などで、ニューマネーが入ってきている。

「高値警戒感も台頭」と報じられるが驚くことではない

連日の大幅高で、「高値警戒感も台頭」と報じられるが、この「警戒感」というのがクセモノである。本当に水準の高さを警戒しているわけではないだろう。短期的に値幅が出たから、正確には「利食い売りによる押し目があるかも」くらいの気持ちだろう。水準自体はPERで15倍台、まったく割高感はない。

上昇幅で見ると、昨年大納会の引け値からは2,000円上がったが、2,000円の上昇幅は11月にも記録している。別に驚くことではない。

1ヶ月前の12月8日の終値は、32,307円だった。そこからは3,000円超の値上がりだ。率にすると約10%である。ここから10%上がるとすれば、ざっくり3万5000円の1割だから3,500円だ。3万5500円を起点とすれば3万9000円、史上最高値を抜けてくる。実は史上最高値まであと1割、状況次第では1ヶ月もあれば届くところまできているのである。

これは数字のマジックで、3万5000円なんていうレベルの株価を見慣れていないから、実感がわかないだけで、相場は、もう、そういうところまで来ているのである。

数字のマジックで実感がわかないというのは、市場関係者(プロ)も同様で、日経ヴェリタスが市場関係者を対象にしたアンケート(回答者は68人)で、2024年の日経平均株価予想の高値平均は3万6971円だった。回答者の半数が3万7000円以下の予想にとどまった。ちなみに今日の高値35,839円までの上昇率は7%である。今年が始まって数営業日でその方々の予想の7割は達成されている。他人の予想にケチをつける気はないが、どうしたらそんな予想になるのか、僕には理解できない。ひとつの理由が、ここで挙げた「数字のマジック」で「高い値を出すのがなんとなく、憚られる」ということではないか。

史上最高値まであと約1割、3万5000円は通過点に過ぎない

繰り返すが、史上最高値まで、ざっくり言って、あと1割だ。

4万円も現実味がある。QUICKコンセンサスによる来期(2024年度)の日経平均の予想EPSは今期着地見込み対比5%増益の2,500円だ。これをPER16倍で評価すれば4万円ちょうど。来期5%増益、EPS 2,500円×PER 16倍=4万円。

きわめてリーズナブルな予想だろう。言わずもがなの言葉で締めよう。本レポートの読者ならおなじみのフレーズだ。ご唱和ください。

3万5000円なんて通過点に過ぎない。