今朝、米証券取引委員会(SEC)のX(旧ツイッター)のアカウントに、ビットコイン現物ETFが承認されたという偽の投稿が掲載されました。これを受け、ビットコインの価格は、10分程度で5%を超える乱高下となりました。暗号資産の世界では、風説がこの程度の動揺を引き起こすことなど珍しくもない、と思うかもしれません。しかし注目したいのは、ハッキングを受けたのが権威あるSECのアカウントであることです。

たまたま、同じく今朝、知人から、「大槻さんの名前と写真を使ったSNSアカウントが、盛んに投資推奨を発信している」という連絡を受けました。こちらは、伝統的(?)なフェイク・アカウントの事例です。検索すると、この手のSNS投資サークルは増加傾向にあるようです。そのすべてが怪しいわけではないのでしょうが、ネット記事によれば、こんな手口があるとされています。最初は一般的な日本株を推奨し、乗りやすい人だと判断すると、今度は訳アリの香港の低位株などを勧める。値段が吊り上がった後、(恐らく首謀者は売り抜け)暴落する…。

今後手口は間違いなく高度化するでしょう。今回のSECの例のように、アカウント自体を乗っ取られ堂々と投稿されたら、見る人にはそれがフェイクとはわかりません。更に、AIを使えば、それらしい投資動画など、いとも簡単に作成できますし、投資先のオンライン会議の相手が実はAIで生成された偽CEOだった、などという例も出回るかもしれません。動画は文章よりも人々のマインドを掴みやすいだけに、大がかりな事件に発展しても全く不思議ではないでしょう。因みに、このコメントは、正真正銘、マネックスのメルマガおよびウェブサイトです。

今年は、新NISA元年。投資は早くも強烈な盛り上がりを見せています。しかし、だからこそ、地に足をつけ、情報の信ぴょう性には常に目配りをしていきたいものです。