米ドル/円 週間予想レンジ:140.00~144.00

メインストラテジー:レンジ取引だが戻り売り優先

・日銀会合は無風通過
・ベアトレンド継続
・年末年始は商い薄

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週の米ドル/円相場は日銀の金融政策決定会合の結果を受け、一時144.97円まで上昇した。しかし、その後失速し、頭の重い構造を示唆。日銀会合による波乱がなかっただけに、底割れを回避したのも自然の成り行きであった。

もっとも、日銀の金融緩和政策の維持自体は想定の通りだった。何しろ、実質賃金が低下する傾向にあり、日銀は拙速な政策修正を行えるはずがなかった。この意味においては、先週指摘した通り、無風通過だった。

しかし、米ドル/円のベアトレンドが確立されていることから、日銀の政策が維持されても大した助けにならないことは、先週145円の大台に乗らなかったことからも示されただろう。抵抗ゾーンがしっかり存在しているため、底割れ回避があっても頭が重いことは、この年末年始においても確認されるのではないか。

年内に日銀政策修正の思惑がロング筋の狼狽売りをもたらしてきたため、先々週までの下落は一服すると想定されていた。そのため、先週のコラムでは下値追いも避けたい旨を強調していた。200日移動平均線を巡る攻防が当面続き、年末年始は頭が一段と重い展開になるだろう。

なぜなら、日銀会合の無風通過があっても145円の大台乗せとはならなかった。これはベアトレンドの継続を強く示唆するサインと見ることができ、年末年始の商い薄もあるため、上値余地は一段と限定されるだろう。

大事なポイントは、11月13日の高値更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」、すなわち「ダマシ」だったことだ。2022年と異なり、日銀の為替介入なしのトップアウトはより蓋然性があり、また支配力のあるサインであった。したがって、数年スパンでのトップアウト、短期スパンでもベアトレンドが確認され、目先200日移動平均線(142.75)を巡る攻防の末に早晩売り勢が優勢となり、同線が抵抗ポイントとなっていくだろう。

そのため、弱気トレンドになっている目下、前述の理由で今週も弱含みの保ち合いを想定。場合によっては、140円への戻りがあっても許容範囲内と思われる。年末年始では基本的に積極的な取引はおすすめできないが、あえて言うなら、押し目買いより戻り売りのほうが合理的かもしれない。

豪ドル/円 週間予想レンジ:95.50~98.50

メインストラテジー:上方修正されたレンジでも押し目買いを継続

・レンジ変動継続でも強含みの展開
・保ち合いの継続を有力視
・豪ドル/米ドルのリードが続く

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週反発し、強含みの状態を示唆。12月7日の大陰線を上回り、同日高値の96.56円以上に大引けしたことに注目。なお、レンジ変動継続と推測するが、地合いの好転は確認されたと見ている。

12月7日に急落し、一旦94円を割り込んだ。米ドル/円の波乱につられた値動きだったが、大きく反落してきた以上、基調が一旦「崩れ」、回復には時間がかかることを示唆していた。そのため、先々週の値幅限定はむしろ当然の成り行きであった。

とはいえ、繰り返し指摘していたように、そこから弱気トレンドへ転換するとは考えていなかった。あくまで中段保ち合いの再拡大や再延長であったが、200日移動平均線を維持している限り、なお高値圏での保ち合いを有力視した。

実際、12月7日以降、12月18日までは値幅が限定的であり、7日の大陰線と「インサイド」のサインを形成していた。従って、12月19日の大陽線、同「インサイド」の上放れとなり、地合いの改善を示唆し、想定より早い回復であったとも言える。

元々のシナリオでは、10月最終週に大きく続伸し、9月高値のブレイクを果たしたため、上放れが決定したと見ていた。11月には、年初来高値更新で出遅れたロング筋の一段参入が想定されただけに、週足における「インサイド」が延長されても、いずれ上放れする機運があると推測していた。

半面、前述の通り、12月7日の大波乱で同シナリオが一旦後退した。本来、より長い調整期間と、より深い押しがあってもおかしくなかったが、想定より早く上放れしたため、従来のシナリオに早期復帰したと言える。

日足の見方として、12月5日、6日のサインも大きかった。12月6日は「スパイクハイ」のサインだったが、12月5日と「インサイド」を形成。その後、12月7日には大きく下落して大陰線を形成していたため、仮に回復があってもハードルが高く、時間がかかることを想定していた。実際の上放れは、12月19日まで待たなければいけなかったが、それでも想定よりは早かった。

根本的な背景は、やはり豪ドル/米ドルの切り返しである。従って、従来のシナリオを維持し、将来的には再び高値を更新すると予想するが、豪ドル/米ドル依存の側面がさらに強まるだろう。年末年始においては、強含みの展開が続くと想定できるが、高値更新するには至らないと見ている。高値圏での保ちあいを継続するのではないか。