20代後半から株式投資を始め、5年目にして資産1億円を突破したkenmoさん。スランプに陥るたびに投資手法を改良するなか、相場の波に乗る「トレンドフォロー」を基本方針として貫いてきました。「今年11月に大きくトレンドが変わった」というkenmoさんに、注目の銘柄や、成長株を見つける方法などをお聞きしました。

●kenmoさんプロフィール●
40代前半の投資家。2012年に元手300万円から株式投資をスタートし、5年で資産1億円達成。現在は2億円以上を運用している。2018年に、個人投資家同士の情報交換や銘柄ディスカッションを目的とした勉強会(湘南投資勉強会)を立ち上げ。また、体系的に知識を習得したいと考え、この頃より中小企業診断士の資格の勉強を開始。2023年5月に中小企業診断士の資格を取得。資格取得を機に2023年8月に会社員を辞め、IR支援や企業コンサルティングを行うための法人を設立。現在は株式投資の傍ら、数多くの企業のIRセミナーの主催やIRの支援などを行っている。妻、1児と3人暮らし。

20代後半で元手300万円から株式投資をスタート

――投資に興味を持ったきっかけを教えてください。

メーカーの企業に入社してから4年ほど経った頃、貯金が400万円ほどになり、「銀行に寝かしておくのはもったいない」と思いました。サラリーマンで定年まで働き続けるイメージが持てないものの、老後に困窮した生活を送りたくもない。将来お金に不自由しないためにはどうすれば良いかと考えた際に、「起業する」「出世コースを目指す」「投資する」という3つの選択肢が頭に浮かびました。

当時、出世欲や起業のモチベーションはありませんでした。消去法的に、「投資」を始めてみようかなと思いました。ちょうどロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』がベストセラーになっており、また祖父が不動産投資をしていたことも影響したかもしれません。ただ不動産投資にはあまり興味が持てなかったので、株式投資を選択しました。2012年に株式投資をスタート。20代後半のことです。

5年で1億円に増加、資産拡大に寄与した成長株

――投資を始めてから5年間で1億円まで増やした1番の要因は何だと思いますか?資産拡大に寄与した銘柄があれば教えてください。

株式投資を始めて間もない頃に購入した2つの銘柄が、資産拡大に大きく貢献しました。1つは、ジンズホールディングス(3046)です。2012年当時、格安メガネが台頭する中で、業績を伸ばしている点に注目しました。ちょうどその頃、ブルーライトカットレンズの度付きが販売開始になると発表されたので、販売初日に店頭へ行ってメガネを作ったのです。そのメガネをかけて出社すると、同僚に「JINSのメガネだよね」と声をかけられ、JINSの認知度の高さを実感しました。ブルーライトカットレンズが話題になっている中で、度付きが出て、さらにニーズが高まると感じました。そのため、月次売上が発表される直前に300万円分の株式を購入し、その後資産を750万円に増やすことができました。

2つ目の銘柄は、ベクトル(6058)でした。当時、世の中的にもマス広告から戦略PRへの大きな変換期で、同社は特に“戦略的PR”を掲げ、事業内容が変化しており、チャート的にも新高値を超える気配がありました。そこで、ジンズで増やした750万円の資産を同社の投資に充てることに…。投資を始めて2年目にして、アベノミクス相場の追い風もあり、資産は3000万円に増えました。

――元手300万円が2年目で10倍の3000万円まで増えて、どのようなお気持ちでしたか?

「自分には投資の才能があるのでは」と勘違いしたことも…。でも私は基本的に臆病なタイプなので、「このままのやり方では長続きしないだろうな」という思いもありました。その予想の通り、翌年2014年は資産がほとんど増えませんでした。

2015年頃になると、雑誌などで桐谷さんが話題になっていたこともあり、優待株に着目。株主優待の権利落ちで株価が下落した後のタイミングで購入し、優待の権利日までの株価上昇を狙って売買する手法を取るようになりました。「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言のように、オフシーズンに仕込む戦略です。その結果、2015年から2016年にかけて資産額は3300万円から5000万円になりました。

――その後も優待銘柄を中心としたトレードを継続されたのでしょうか。

2017年に投資手法を見直すことにしました。と言うのも、それまでは3ヶ月ぐらいの短期で売買を繰り返していたのですが、振り返ってみると「あの時に売却しなければ、今頃はもっと利益が出ていたのに…」と思う銘柄がたくさんあったのです。それを教訓に「銘柄を絞って」「長めに持つ」手法に変えました。そのため、四季報や過去の大化け株のチャートを徹底的に見るようになりました。

その上で、ペッパーフードサービス(3053)、PR TIMES(3922)、システム情報(3677)、学情(2301)に約1000万円ずつ投資しました。学情以外の3銘柄のパフォーマンスが非常によかったため、ついに1億円を達成することができました。

業績と株価向上の波に乗る「順バリ決算モメンタム投資」

――「順バリ決算モメンタム投資」という手法にたどり着いた経緯を教えてください。

2017年に「銘柄を絞って」「長めに持つ」投資が上手くいった流れで、2019年末に新規上場して間もない銘柄に注目して投資しました。ところが2020年頭から株価は下がる一方…。ところが2017年以降の成功体験から身に着いた過度な自信から、損切りという選択が頭に浮かびませんでした。含み損が膨らみ始めたそんな中、ついにコロナショックが到来。株価がどんどん下がるなかで、今まではやらなかった“ナンピン買い”(保有銘柄の株価が下がった時にさらに買い付けること)でさらに傷口を広げてしまいました。結果的に5000万円ほど失うことに…。

自分には株式投資の才能がないと思い、自信を大きく無くし、市場から撤退することも考えました。何もできない精神状態が数ヶ月間続きました。しかし、時間が経つにつれて、相場を舐めていた自分に次第に腹が立ってきました。「このままでは終われない」そう思い、もう一度相場に対峙すべく、数千万円ほど保有していた銘柄を全て損切りし、再スタートを決意しました。

この頃、世の中が大きく変わる中では四季報の情報は遅く、リアルタイムで企業の決算情報を見て判断しないと変化についていけないと考えるようになりました。また、過去の大化け株を見てみると、決算が起点となって大相場が始まっていることが非常に多いことに気が付きました。そこで新高値ブレイク投資法の考え方を持ちながら、決算後にエントリーする「順バリ決算モメンタム投資手法」の開発に取り組みました。

――現在の資産状況はいかがですか。

順バリ決算モメンタム投資手法が功を奏し、現在の資産総額は2億円を超えています。

投資に活かす決算の読み方とは

――投資の情報収集や学びで意識されていること、常にチェックする情報源などがあれば教えてください。

最も重視しているのは、チャートと決算開示です。次に、四季報の情報。加えて、勉強会や、IR説明会で関心をもった銘柄、展示会や街頭で見かけた情報も参考にしています。そのほか、情報通信白書や省庁や企業が出しているマクロ環境のレポートなどをチェックすることもあります(参考する配分としてはチャート4割:決算開示4割:四季報1割:その他1割のような形です)。

X(旧Twitter)の情報もチェックしていますが、「今日、この銘柄で〇〇円儲かった」といった投稿を見ると、焦ってしまうのです。過去に、勝っている人の情報に影響を受けて銘柄を購入して損をする…という苦い経験もあったので…。ですので、そういった情報はできるだけシャットアウトして、一次情報を見るようにしています。

――決算を読む上で特に重視しているポイントを何でしょうか?

企業の開示情報を見て、その企業の変化を見るようにしています。投資を判断する上で、「今期の決算が良かった」だけではなく、「次の決算でさらに良いものが出そうか」「もっとよくなりそうか」をイメージできるかどうかが大事です。先行きを見通すには、企業のビジネスモデルや費用構造を理解し、業績の推移を見ておく必要があります。

そのため、決算シーズン以外は、なるべく多くの企業を分析して理解を深め、決算発表の時にスピード感を持って投資判断できるように努めています。

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※本インタビューは2023年12月7日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。