東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は円高を受けて大幅続落となりました。257円安の32,600円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ高値に下げ幅を大きく広げると11時過ぎに571円安の32,287円まで下落し552円安の32,305円で前場を終えました。567円安の32,290円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げ14時30分前に652円安の32,205円まで下落すると結局550円安の32,307円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証グロース市場250指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
ニトリホールディングス(9843)が一時4.6%高となりました。大幅な円高を受けてドル建てで輸入する商品の仕入れコスト減による利益率の改善を期待した買いが入りました。ローム(6963)も一時8.3%高となりました。電気自動車(EV)や産業機器の省エネルギー性能を高めるために欠かないパワー半導体の共同生産を東芝(6502)傘下で半導体事業を手掛ける東芝デバイス&ストレージと始め、事業総額3883億円のうち最大で1294億円の補助を国から受けると発表したことで大幅高となりました。日銀が早期にマイナス政策金利の解除を決めるとの見方が強まるなか大手銀行株の一角も高く、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時2.7%高となったほか、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時1.9%高、りそなホールディングス(8308)も一時4.2%高となりました。また、投資判断の引き上げを受けてニチレイ(2871)が一時9.1%高となり、投資判断の引き上げを受けてエービーシー・マート(2670)も一時6.9%高となっています。
一方で円高を受けて自動車株が売られました。トヨタ(7203)が一時4.9%安、日産(7201)が一時3.2%安、ホンダ(7267)が一時3.1%安、マツダ(7261)が一時4.1%安、SUBARU(7270)も一時5.3%安となりました。積水ハウス(1928)も一時4.3%安となりました。資材価格高騰で国内の戸建住宅事業の採算が悪化などを受けて第3四半期の営業利益が前年同期比で7.8%減となったことで売りが優勢となりました。さらにファーストリテイリング(9983)も投資判断の引き下げを受けて2.9%安となり、日経平均を1銘柄で100円以上押し下げています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は550円安となりました。日銀の植田和男総裁の発言を受けて日銀が早期にマイナス政策金利の解除を決めるとの見方が強まり急速に円高が進んだことで売りが優勢となりました。下げ幅を広げ節目の32,500円や75日移動平均線(32,371円)を割り込んだことから警戒ムードがさらに強まりそうですが、昨日と本日の2日間で1,100円以上も下げたこともあり週明け以降の自律反発に期待したいところです。なお、日本時間の22時30分には11月の米雇用統計が発表されます。米連邦準備制度理事会(FRB)による今後の金融政策を占ううえで関心が高いことからマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)