米ドル買い・円売りへの「偏り過ぎ」の状況続く
先週にかけて、米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いが大きく入ったようだ。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円(対米ドル)ポジションは、売り越しが前週の13万枚超から10万枚台に急縮小した(図表1参照)。
先週は一時147円台へ米ドルが急落したが、その主因は感謝祭休暇を前に、大きく米ドル買い・円売りに傾斜したポジションを手仕舞う動きが広がったためとの見方が多く、それを裏付ける結果と言えそうだ。
10万枚台の円売り越しは、依然として米ドル買い・円売りに大きく傾斜した状況が続いていると言えるだろう。1年前の2022年10月末に10万枚程度だった円売り越しは、米ドル安・円高が大きく進む中で、年明け2023年1月には2万枚を割り込むまで急縮小に向かった。以上を参考にすると、米ドルが更に下落するといった見通しが広がるようなら、米ドル買いポジションを手仕舞い、損益確定を目指す動きはまだ続く可能性があるだろう。
主要通貨での米ドル買いポジションの手仕舞い進む。米国債の買戻しの動きに注目
このような円売り越しの急縮小が主因と考えられるが、複数の通貨のポジションから推計した米ドルのポジションも、先週は買い越しが比較的大きく縮小した。主要5通貨(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドル)のポジションから推計した米ドルのポジションは、買い越しが18万枚程度から先週は15万枚程度まで縮小した(図表2参照)。対米ドルで円の売り越しを縮小する一方で、ユーロなどは対米ドルで買い越しを拡大するなど、全体的に米ドル買いのポジションを手仕舞う動きが広がっている可能性もありそうだ。
為替以外では、米国債ポジションの動きも注目される。米10年債のポジションは、依然として記録的な売り越しが続いている(図表3参照)。ただ最近にかけて、米10年債利回りが大きく低下、債券価格は大きく上昇している。こうした利回り低下、債券価格上昇が続くようなら、「売られ過ぎ」となっている債券を買い戻す動きが広がり、それが更なる債券利回り低下、債券価格上昇を後押しする可能性にも注目したい。