東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反落となりました。328円安の30,663円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分弱で229円安の30,762円まで戻しましたが、上値は重く下げ幅を広げると10時20分前に407円安の30,584円まで下落しました。その後下げ渋ると11時過ぎに朝方に付けた高値近辺まで持ち直す場面もありました。しかし、前引けにかけて下げ幅を広げると382円安の30,609円で前場を終えました。341円安の30,650円でスタートした後場の日経平均は一段安となり13時40分前に453円安の30,538円まで下落しましたが、節目の30,500円を前に下げ渋り持ち直すと結局294円安の30,696円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
信越化学工業(4063)が一時5.0%高となりました。住宅の上下水道管などに使う塩化ビニール樹脂の価格が下落したことや、中国勢などとの競争激化でシリコーン樹脂の販売も減ったことなどから上期の営業利益は前年同期比で28.8%減となりましたが、市場予想を上回ったことで買いが優勢となりました。同じく上期決算を発表した日立(6501)や日清製粉グループ本社(2002)も買われました。日立は企業などのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する「ルマーダ」事業が堅調に推移することが見込まれることなどにより通期の調整後営業利益の見通しを6750億円から7200億円に上方修正したことで5.8%高となりました。日清製粉グループ本社も値上げの影響で減っていた小麦粉の国内需要が人流回復で復調するほか、米国やオーストラリアで小麦粉販売が伸びることなどから390億円とみていた通期の営業利益の見通しを460億円に引き上げたことで一時14.0%高となり年初来高値を更新しています。東証スタンダード市場では第3四半期決算を発表したカンロ(2216)が一時8.9%高となり上場来高値を更新しました。増収による限界利益の増加や生産性向上での固定費率低下による粗利率の向上等により24億5千万円とみていた通期の営業利益の見通しを29億4千万円に引き上げたことで大幅高となりました。
一方で上期の決算を発表したオムロン(6645)が15.8%下落しストップ安となり年初来安値を更新しました。中国でのファクトリーオートメーション(FA)システムの失速を受けて通期の営業利益の見通しを1020億円から450億円に下方修正し一転して大幅な減益予想となったことで売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は294円安となりました。中東情勢が一段と悪化することへの警戒感や、決算などで悪材料が出た個別銘柄の下げを受けて先週末の米国市場でダウ平均が続落となったことから売りが優勢となりました。一時は450円以上下落する場面もありました。しかし、節目の30,500円を前に下げ渋りました。そのため30,500円近辺での底堅さが改めて意識されそうで、下落基調が続いた場合には引き続き30,500円や200日移動平均線(30,335円)を維持できるかがポイントとなりそうです。なお、3月決算企業の上期決算発表が続いています。本日も引け後にはパナソニック ホールディングス(6752)やJR東海(9022)、オリエンタルランド(4661)などが決算を発表する予定です。また、明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表されます。現状維持が大方の見方ですが、一部には長短金利操作イールドカーブ・コントロール(YCC)を再び修正するとの見方もあることから結果が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)