◆昨日の続きである。ドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」で主人公・大門未知子を演じる米倉涼子さんが、今年最も美しく輝いた女性に贈られる「2014年ベストビューティストアワード」を受賞し、昨日、都内で行われた授賞式に出席した。「今年最も美しく輝いた女性」というのは紛れもない事実で、米倉さんは受賞ラッシュ。先日も、雑誌『VOGUE JAPAN』が輝き続ける女性に贈る「VOGUE JAPAN Women of Our Time」を受賞したばかりである。

◆その授賞式で、女優としてのポリシーについて訊かれた米倉さんは、「何もないです。目の前のことを一つずつクリアにしていく考え方でやってきています」(日本テレビの情報番組『スッキリ!!』のインタビューに答えて)。 目の前のことに集中して先のことは考えない。10年先はおろか、5年後の自分がどうなっているかなんてわからないからだというのだ。同感である

◆「とにかく今日を一生懸命、精一杯やる」と思って練習を積み重ねるだけだ。そうして「気がつくとここまで来ていた」という生き方でいいんじゃないか。(サッカー選手・三浦知良)
「私はこれまで、何と闘うという目標を立ててやってきていない。(中略)常に無計画、他力志向である」(棋士・羽生善治)
「夢や目標は曖昧な方がいいのです。方向性を示すだけでいいのです。あまり具体的に考えてはいけません。未来のことを事細かに考えたところで周りも変われば自分も変わります」(マネックスグループCEO・松本大)

以上の言葉はすべて前著『9割の負け組から脱出する投資の思考法』の最終章で紹介したものだ。いずれも異口同音に米倉さんの言葉を裏書きするかのようである。

◆米倉さんは上の言葉を継いでこう述べている。「決めつけるとやらなかった時に苦しくなったり、その時その時に必要なものは絶対あると思う、だから決めない、決めつけない」。僕らはややもすれば、長期の計画を練ることが重要で、その計画通りに着々と実行していくのが正しいと考えがちである。しかし、人生も相場も、思い描いた通りになることなんて滅多にない。もっと柔軟に構えて、来た球をまっすぐ打ち返す。それを継続していくことが、結局、後から振り返った時に、「正しい長期投資」ができていた、ということになるのではないだろうか。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆