東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに大幅反落となりました。462円安の31,579円で寄り付いた日経平均は10時10分過ぎに372円安の31,669円まで持ち直しましたが、そこからさらに下げ幅を広げると後場寄り直後には643円安の31,399円まで下落しました。その後下げ渋ると節目の31,500円を回復する場面もありました。しかし、31,500円を上回ったところでは上値が重く結局611円安の31,430円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が2%安の659ポイントとなり、10月16日に付けた年初来安値(660ポイント)を更新しています。

2.個別銘柄等

決算で売上高が市場予想に届かなかったことで昨日の米国市場でオランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング[ASML]が大幅安となったことや、取引終了後に決算を発表した米半導体製造装置メーカーのラム・リサーチ[LRCX]も時間外取引で大きく下げたことから日本市場でも半導体製造装置関連銘柄が売られました。東京エレクトロン(8035)が一時5.2%安、SCREENホールディングス(7735)が一時6.2%安、レーザーテック(6920)とアドバンテスト(6857)が一時4.5%安、ディスコ(6146)も一時4.9%安となりました。第一三共(4568)も一時7.4%安となり年初来安値を更新しました。主力のがん治療薬「エンハーツ」について米国の製薬会社シージェン[SGEN]の特許を侵害しているとして訴えられていた訴訟で敗訴し、損害賠償とロイヤルティーの支払いを命じられたと発表したことを嫌気した売りが出ました。工作機械や自動車、家電製品向けの精密部品を手掛けるツバキ・ナカシマ(6464)も一時8.5%安となり年初来安値を更新しました。新株予約権と新株予約権付社債(転換社債)を組み合わせて150億円を調達すると発表したことで将来的な株式需給の悪化や株主価値の希薄化を懸念する売りが出ました。

また、投資判断や目標株価の引き下げを受けてMonotaRO(3064)と太陽誘電(6976)が揃って一時3.5%安となり、MonotaROは年初来安値を更新しています。一方で目標株価の引き上げを受けて中古車買い取りチェーン最大手のIDOM(7599)やヤマダホールディングス(9831)が高く、IDOMが一時8.9%高、ヤマダホールディングスも一時2.9%高となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は611円安となりました。米長期金利の上昇や中東情勢を警戒した売りが出て昨日の米国市場が大きく下げたことから大幅反落となり、節目の32,000円だけでなく節目の31,500円も割り込みました。そのため警戒ムードが改めて強まりそうです。なお、3月決算企業の上期決算発表がいよいよスタートします。本日は引け後にディスコが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分に米新規失業保険申請件数と10月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には9月の米中古住宅販売件数と9月の米景気先行指標総合指数が発表される予定です。さらに20日午前1時にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米経済団体の討議に参加する予定です。米国では次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてFRBが21日から対外発信を控えるブラックアウト期間に入ることもありパウエルFRB議長の発言に注目が集まりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)