東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。100円高の31,847円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで57円高の31,804円まで上げ幅を縮めました。しかし、そこから持ち直すと9時50分前に202円高の31,949円まで上昇し170円高の31,917円で前場を終えました。171円高の31,918円でスタートした後場の日経平均はさらに上げ幅を広げると13時20分過ぎに290円高の32,037円まで上昇しましたが、節目の32,000円を小幅に上回ったところで伸び悩むと結局189円高の31,936円で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に下げたほか、新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したJ.フロント リテイリング(3086)が一時5.3%高となりました。インバウンド(訪日客)消費が想定以上に伸びていることや、高額品を中心に国内客向けの販売が伸びていることなどから400億円とみていた通期の事業利益の見通しを425億円に上方修正したことから買いが優勢となりました。ライフコーポレーション(8194)も一時5.2%高となり年初来高値を更新しました。食料品の値上げにより増収となったことや、特売比率の低下などで粗利率が改善したことにより上期の営業利益が前年同期比で39.2%増となったことから上げ幅を広げる場面がありました。しかし、朝方の買い一巡後に伸び悩むと1.5%安で取引を終えています。また、投資判断と目標株価の引き上げを受けて東京エレクトロン(8035)とレーザーテック(6920)が高く、東京エレクトロン(8035)が一時2.6%高、レーザーテックも一時7.3%高となりました。一方でタマホーム(1419)が一時10.1%安となりました。注文住宅の引き渡し棟数が減少したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で51.4%減となったことから売りが膨らみました。MonotaRO(3064)も一時13.6%安となり年初来安値を更新しました。9月の売上高は速報値で前年同月比8.5%増となりましたが、8月の13.4%増より伸びが鈍化したことから売りがかさみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は189円高となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派発言が相次いだことにより追加の利上げ観測が後退し米長期金利が低下したことで昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となり290円高となる場面もありました。しかし、日本時間の21時30分に9月の米卸売物価指数(PPI)の発表を控えているうえ、12日午前3時には9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を控えていることもあり節目の32,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。そのため32,000円近辺での上値の重さがやや意識されそうで、明日は9月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え様子見となりやすいなかで32,000円を超えてさらに戻りを試せるかがポイントとなりそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算銘柄の上期決算発表が続いていますが本日も引け後にはエービーシー・マート(2670)やイオン(8267)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)