東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に反発となりました。291円安の32,023円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分弱で354円安の31,960円まで下落しました。しかし、朝方の売り一巡後に下げ渋ると持ち直し151円安の32,163円で前場を終えました。176円安の32,138円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を縮めると引けにかけてプラスに転じ結局56円高の32,371円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
クラウド型の業務支援ソフトなどを手がけるサイボウズ(4776)が一時6.3%高となりました。8月の月次連結業績で営業利益が前年同月比52.4%増と大幅な増益となったことで買いが優勢となりました。機械商社の西華産業(8061)も一時9.6%高となりました。販売価格の改善が進んだほか、新型コロナウイルス禍での行動制限が緩和され商談が活発化したことなどで上期の営業利益の見通しを上方修正したことから大幅高となりました。東証スタンダード市場では日本オラクル(4716)が一時12.0%高となりました。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資が旺盛で、幅広い業界で利益率が高いクラウドサービスの採用が進んだことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で14.4%増となったことから買いを集めました。一方でスギホールディングス(7649)が一時6.6%安となりました。夏場の猛暑で制汗剤や日焼け止めといった季節商品が好調だったうえ、調剤部門の売り上げも伸びたことなどから上期の営業利益は前年同期比で11.9%増となりましたが、材料出尽くしで利益確定の売りに押されました。コナカ(7494)も一時7.9%安となりました。子会社のサマンサタバサジャパンリミテッド(7829)で販売不振が続いていることなどから2023年9月期の業績予想を下方修正し営業赤字が一段と拡大する見込みとなったことから売りが膨らみました。東証グロース市場では上期の業績予想を下方修正したサマンサタバサジャパンリミテッドも急落し一時25.7%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は56円高となりました。米長期金利の上昇や米議会の予算協議が難航するなか政府機関閉鎖の可能性への警戒感が重石となり昨日の米国市場が反落となったことから下落して始まりました。朝方には350円以上下げる場面もありましたが、節目の32,000円を小幅に割り込んだところで押し目買いが入り持ち直し徐々に下げ幅を縮めると、パッシブファンドによる配当の再投資に絡むとみられる買いが先物に入り引けにかけてプラスに転じました。しかし、明日は権利落ち日で220円余りとみられる配当落ちがあります。こうしたなかで引き続き32,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)