FOMC、利上げを見送る見方が大勢

先週のS&P500は、0.16%下落、ナスダック100は0.51%下落しました。米10年債利回りがほぼ1ヶ月ぶりに4.3%を超えてきたことがマーケットの重石となりました。

先週市場で注目されたのは、9月14日(木)に発表された8月の生産者物価指数(PPI)でした。発表されたPPI(前月比)は0.7%と事前予想の0.4%を超えてはいたものの、食品とエネルギーを除いたコア(前月比)については0.2%と事前予想通りの結果となりました。

今週の注目は今年6回目となるFOMC(米連邦公開市場委員会)の開催です。CMEのフェッドウォッチツールによると、FOMCで政策金利の引き上げ(25bp)が起きる確率は2%となっており、今回利上げを見送るだろうというのが市場の見立てです。また、現時点における11月の利上げが起きる確率については27%で、数週間前の48%と比べ大きく減っています。毎度のことではありますがパウエルFRB議長の発言が注目されます。

英半導体アーム・ホールディングス[ARM]がナスダックに上場

先週のマーケットの注目は、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングス(以下、アーム)[ARM]の新規株式公開(IPO)でした。ソフトバンクは、元々2020年9月にアームを400億ドルでエヌビディア[NVDA]に売却しようとしていたのですが、規制当局やアームの顧客の反対もあり、計画はうまく行きませんでした。それを受け、ソフトバンクはアームの現金化を図るべくIPOを行うように方針を変更、先週晴れてナスダック市場へ上場しました。投資家の応募倍率は10倍を超えたと言われています。

アームは先週14日(木)に51ドルで上場、この日は63.59ドルで引け、25%上昇し取引を終えています。15日(金)には前営業日よりも約5%下げ60.75ドルで先週の取引を終えました。アームの時価総額は623億ドル(約9.2兆円)となります。今回ソフトバンクは、保有株のうち10%を売却、同社は引き続きアームの約90%の株式を保有することになります。

米IPO市場への期待が高まる

IPOマーケットは、投資家がリスクを取りたいかといったセンチメントに非常に敏感です。2023年は8月末までに、77企業の上場があり、合計で102億ドルの資金調達を行いました。2022年はというと、同期間で70社が上場し、52億ドルの資金調達を行っていますので、IPOマーケットは元気を取り戻し始めています。金融緩和の環境であった2021年、IPOマーケットは活況となり397の企業がIPOを行い1540億ドルの資金調達を行いました。

アームの好調なデビューを受け、先週、食料品配達プラットフォームの米インスタカートは、今後予定しているIPOの仮条件レンジの上限を93億ドルから100億ドルへと引き上げています。アームの上場の成功により、低迷していたIPO市場が活性化するとの期待が高まっています。

現在のマーケットのリスクと留意点

現在のマーケットにリスクがあるとすれば、それはこのところの石油価格の動向です。先週約10ヶ月振りの高水準となった原油価格は、これまでのところ株式市場全体には悪影響を与えてはいないものの、米国の航空会社は旅行の需要が高いにも関わらず、足元の原油価格の上昇を受け今後の業績の見通しを引き下げました。全体マーケットに波及しないか注意が必要です。