かつて、そして今でも、金融機関が不良債権など過去の負の資産で立ち行かなくなると、グッドバンクとバッドバンクと云うふたつの会社に分けて整理する方法が多く採られてきました。不良債権など毀損した(腐った)資産は切り分けて集め、バッドバンクとして切り出してひとつの会社に入れて、負の遺産の整理に特化する。グッドバンクは優良な問題のない顧客向けの業務・サービスを継続する。

この方法は、金融機関をただ単に潰すのでは社会的な負の影響が大きいし、問題は金融機関であって、優良な顧客に迷惑を掛けるのはよろしくない、と云う考えから作られた訳ですが、責任を追及しつつ社会的コストを抑える、ひとつの知恵だと思います。

今世間を騒がしている中古車販売会社や芸能プロダクションの問題も、このグッドバンク・バッドバンクの考え方を導入する余地があるのではないかと思います。中古車販売会社を利用する顧客や多くの従業員に問題がある訳ではなく、また芸能プロダクション所属の芸能人に問題がある訳ではありません。

金融機関の場合は、各国政府が規制者として直接介入してこのような手法を実施させたのですが、中古車販売会社や芸能プロダクションでは、そのような強制力を持つ規制者・行政はいないでしょう。いや、いない方がいいのです。民間に自浄作用がある方がいいから。しかしそのためには、中古車販売会社や芸能プロダクションのオーナーや事実上の経営者が、自らそのような決意と実践をしなければなりません。

そのようなことが、今、求められているのではないでしょうか?或いは求めていかねばいけないのではないでしょうか?