東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は6日続伸となりました。86円高の32,797円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで4円高の32,714円まで上げ幅を縮めました。しかし、マイナスに転じることなく踏み止まると持ち直し189円高の32,899円で前場を終えました。175円高の32,885円でスタートした後場の日経平均は13時50分過ぎに135円高の32,846円まで弱含みましたが、引けにかけて上げ幅を広げると結局228円高の32,939円で取引を終え高値引けとなりました。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が小幅に下落となっています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が一時3.2%高となり上場来高値を更新しました。国内大手証券が目標株価を引き上げたことに加え、146円台前半まで進んだ円安もあり8月2日に付けた上場来高値を約1ヶ月ぶりに上回りました。マツダ(7261)も一時4.2%高となり年初来高値を更新しました。電気自動車(EV)シフトに向けた経営資源を捻出するため多目的スポーツ車(SUV)の駆動装置の種類を2割削減し利益率を引き上げると伝わったことを好感した買いが入りました。日本製鉄(5401)も一時4.1%高となり年初来高値を更新しました。トヨタが2023年度下期に部品メーカーに供給する鋼板の価格を上期から据え置くことを決めたと伝わったことで、日本製鉄と半期ごとに行っている価格交渉も据え置きでまとまったとの見方から大幅高となりました。

また、JFEホールディングス(5411)や神戸製鋼所(5406)も高く、JFEホールディングスが4.6%高、神戸製鋼所も6.1%高となり揃って年初来高値を更新しています。伊藤園(2593)も一時13.7%高となり年初来高値を更新しました。原材料高を値上げや商品ミックスの構成変更で吸収したうえ、客足が戻りタリーズコーヒー事業も好調だったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で66.5%増となり、上期予想に対する進捗率が79.9%となったことから業績の上振れを期待した買いが入りました。調剤薬局大手のアインホールディングス(9627)も一時3.5%高となりました。新型コロナの分類が5類に移行し外来受診が回復したことで調剤薬局での処方箋枚数が全店で1割超増えたことなどにより第1四半期の営業利益が前年同期比で31.1%増となったことから買いが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は228円高となりました。8月の米雇用統計で失業率が前月から悪化し、平均時給も前月から伸びが鈍化したことで金融引き締め長期化への過度な警戒感が後退し先週末の米国市場でダウ平均が反発した流れを受けて買いが優勢となりました。先週末までの5日間で1,100円近く上げていたことや、東証プライム市場の騰落レシオが先週末時点で120%を超えていたこともあり朝方には伸び悩む場面もありました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると上げ幅を広げ32,900円を上回って取引を終えました。そのため節目の33,000円回復への期待が高まりそうですが、今晩の米国市場がレーバーデーの祝日で休場となることから明日は材料に乏しい1日となりそうで、こうしたなかで利益確定の売りをこなして堅調さを引き続き維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)