東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続伸となりました。138円安の31,717円でスタートした日経平均は寄り付きを安値に下げ渋ると持ち直し、前引け5分前に109円高の31,966円まで上昇しました。その後伸び悩むと13時30分過ぎには18円高の31,875円まで上げ幅を縮めました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると14時頃から上げ幅を広げ大引け間際に182円高の32,039円まで上昇し結局153円高の32,010円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

クレハ(4023)が一時3.4%高となりました。電気自動車(EV)に搭載する車載リチウムイオン電池の正極材に用いるフッ化ビニリデン樹脂の生産能力を、新たに約700億円を投じて約7割増やすと発表したことを材料視した買いが入りました。JR東海(9022)も一時3.0%高となりました。1株を5株とする株式分割を発表したことで最低投資金額の低下による投資家層の拡大を期待した買いが入りました。マツダ(7261)も一時3.6%高となり年初来高値を更新しました。トヨタ(7203)と共同で建設した米アラバマ州の完成車工場での生産を段階的に増やし、2026年3月期の米国販売台数を45万台と、2024年3月期比で2割増やすと伝わったことで大幅高となりました。ニチコン(6996)も一時3.3%高となりました。電気自動車(EV)の市場拡大を受け国内外で主力のコンデンサーの増産投資を進めていると伝わったことに加え、目標株価の引き上げもあって買いが優勢となりました。

東証スタンダード市場でも近鉄百貨店(8244)が一時8.6%高となりました。新型コロナウイルスの5類移行で外出機会が増え化粧品や衣料品の販売が伸びていることや、訪日客の増加もあり通期の営業利益の見通しを30億円から43億円に上方修正したことで大幅高となりました。一方で日清紡ホールディングス(3105)が一時6.2%安となりました。ブレーキ事業を手掛ける欧州子会社の譲渡に伴い特別損失を計上することなどから通期の業績見通しを下方修正し、最終損益が190億円の赤字になる見通しとなったことから下げ幅を広げる場面がありました。芝浦メカトロニクス(6590)も一時11.6%安となりました。筆頭株主である東芝(6502)など3社が保有する70万3500株を売り出すと発表したことから需給悪化を警戒した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は153円高となりました。大手格付け会社が一部米地銀を格下げしたことを受けて金融株に売りが出て昨日の米国市場でダウ平均が続落となったことから下落して始まりました。しかし、寄り付きを安値に下げ渋ると持ち直し上げ幅を三桁に広げ節目の32,000円を回復しました。そのため警戒ムードがさらに和らぎそうで、明日も買いが優勢となった場合には75日移動平均線(32,061円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。

なお、22時45分には8月の米PMI速報値が発表されるほか、23時には7月の米新築住宅販売件数が発表される予定です。また、23日の米国では画像処理半導体大手のエヌビディア[NVDA]の決算発表が予定されています。人工知能(AI)向け半導体の販売拡大が見込まれていることからマーケットの関心が高く結果が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)