米ドル/円 週間予想レンジ:140.00~143.00
メインストラテジー:レンジ取引
・米ドル全体は頭が重い
・円売りでもなし
・保ち合いの先行
アナリシス:
米ドル/円相場は先週再度波乱した。一旦143.90円をトライしたものの、一転して反落し、141.75円の大引けをもって週足では大きな「スパイクハイ」のサインを点灯した。
もっとも、先々週は「スパイクロー」のサインを形成し、陰線だったことに対し、先週は陽線だったため、米ドルの頭打ちがあっても構造上はなお強気変動にあると推測される。しかし、米ドル全体の頭打ちと相まって、米ドル/円も当面頭打ちにされるとみている。
この視点において、まず確認しておきたいのは、7月安値を起点とした切り返しは、ジグザグ変動の構造をもってすでに完成された公算が大きいこと。そのため、8月3日に形成された「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインは軽視できず、しばらく米ドルの天井を示唆するだろう。ベアトレンドへの転換は前述のように時期尚早だが、同サインの否定(即ち高値更新)なしでは、遅かれ早かれ弱気変動へ復帰してくるだろう。
先々週は米欧共に利上げしたものの、それ自体は想定通りであったためサプライズではなかった。日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化が想定外であっただけに、波乱があっても許容された。そして先週の頭打ちは、米ドル全体との連動が要因だっただけに、米ドル全体(米ドル指数)の視点が欠かせない。
何しろ、米ドル全体(米ドル指数)は7月18日から一貫して切り返してきたが、8月4日の大幅反落があって、同8月3日の頭打ちをほぼ確認できた。そのため、先日の米ドル/円の切り返しは円売りより米ドル買い、または米ドルショート筋のカバー(買戻し)が主因であったと推測されたからこそ、日銀政策と逆行した円売り自体は長く続かない公算が大きかった。
もっとも、日銀のYCC柔軟化は、その政策自体が円売りの材料ではなかった。従って、米ドルのショート・カバーが一巡した今だからこそ、これから材料の蒸し返し(即ち円買い)があってもおかしくない。今週140円関門を一旦割りこんでも許容範囲内である。
とはいえ、7月28日の大陽線は、その存在感が大きい。同日のサインを否定するには、何らかの大きな材料が必要と思われ、目先としてはなお均衡を保てる公算が大きい。米ドル指数自体もたちまち安値を追う展開にはなりにくく、弱含みとはいえ、しばらく保ち合いの先行が想定される。あくまでレンジ取引のスタンスで臨みたい。
豪ドル/円 週間予想レンジ:92.00~95.00
メインストラテジー:押し目買い
・頭の重さを再確認
・底堅い推移も
・再度押し目を形成
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週再度波乱し、一旦95.86円をトライしたものの、一転して大幅反落し、週足では「スパイクハイ」の大陰線を形成した。先々週も、週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、豪ドルの軟調さを証明した。
とはいえ、先々週の「スパイクロー」のサインに鑑み、弱含みとはいえ、基調が崩れたことでベアトレンドへの復帰を認めなかった。この視点において、先週の値動きをあくまで途中の波乱とみなしたことで、豪ドルの上値志向自体は否定されていないと思う。
もっとも、我々は豪ドルの頭の重さを想定していたが、底割れではなかったことも指摘していた。6月高値の97.75円を起点とした反落は、あくまで調整子波の位置付けであると繰り返し強調してきた。日銀会合後の波乱は、一旦行き過ぎ(92円関門割れ)があった上、7月31日に一旦95.86円まで戻り、7月28日罫線の意味合いを証明したと指摘していた。
同日は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、また大引け値をもって大幅切り返しを果たしたため、事実上「フォールス・ブレイクアウト」、即ち安値トライ自体が「ダマシ」であったことを証明した。そのため、調整子波の完成が想定できたわけだ。
その反面、96円関門直前の抵抗もしっかり確認されている。7月25日、7月31日の高値は同関門前後に抑えられ、8月1日の反落もあって、当面頭の重い展開も想定できた。同じ「フォールス・ブレイクアウト」のサインとして認める場合は、再度ブレイクされるまで値幅を制限する存在となることは先週のコラムでも解説した通りであり、目先としてはなお慎重なフォローが必要だと思う。
豪金利据え置きもあって、金利面の選好もしばらくできない。米ドル/円次第の波乱を想定した上で、保ち合いの先行を有力視するが、あくまで底割れ回避、またブルトレンドへ復帰する途中との位置付けなので、レンジ内における押し目をじっくり拾いたい。92円関門前後の支持があれば、構造上の明るさが見え始めるだろう。