東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続伸となりました。271円安の31,921円で寄り付いた日経平均は直後に362円安の31,830円まで下落しました。しかし、朝方の売り一巡後に徐々に下げ幅を縮めると2円安の32,190円で前場を終えました。プラスに転じ34円高の32,227円でスタートした後場の日経平均は小幅にマイナスとなる場面もありましたが、先週末の終値近辺で底堅さをみせると14時50分過ぎに114円高の32,306円まで上昇し結局61円高の32,254円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表した日本製鉄(5401)が一時4.7%高となり年初来高値を更新しました。原料と鋼材の価格差であるマージン(利ざや)が想定よりも改善すると見込まれることなどで3700億円とみていた通期の純利益の見通しを4000億円に上方修正したことから買いが優勢となりました。また、同じく第1四半期決算を発表したファンケル(4921)やヤマダホールディングス(9831)も買われました。ファンケルは新型コロナウイルス禍の影響が薄れたことにより国内の化粧品やサプリの売り上げが好調だったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で84.3%増となったことから一時9.9%高となりました。ヤマダホールディングスも新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要が一服しテレビやパソコンなど家電の販売が振るわなかったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で9.7%減となりましたが、市場予想を大きく上回ったことから一時5.9%高となりました。上期決算を発表したユニ・チャーム(8113)も一時11.8%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス対策のマスク販売が減ったものの、ペット用品やおむつなどで好採算商品の販売が伸びたことなどにより第2四半期3ヶ月間の純利益が前年同期比で21.5%増となり、第1四半期の1.8%減から増益に転じたことで買いを集めました。

一方でスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)が一時14.8%安となり年初来安値を更新しました。6月に発売した「ファイナルファンタジー(FF)16」の開発費償却負担から第1四半期の営業利益が前年同期比で78.5%減となり、通期予想に対する進捗率が5.6%に止まったことで業績の下振れを警戒した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は61円高となりました。7月の米雇用統計で平均時給の伸びが市場予想を上回ったことで連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続を警戒した売りが出て先週末の米国市場が続落となったことから下落して始まりました。一時は節目の32,000円を割り込み360円以上下げましたが、朝方の売り一巡後に下げ渋ると持ち直し後場にプラスに転じ上げ幅を三桁に広げる場面もありました。そのため押し目買い意欲は引き続き健在だといえそうで、32,000円を割り込んだところでの底堅さが意識されそうです。なお、決算発表が本格化しています。本日も引け後には住友金属鉱山(5713)やブラザー工業(6448)、東京海上ホールディングス(8766)、レーザーテック(6920)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)