東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反落となりました。446円安の32,444円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに548円安の32,342円まで下落した後やや下げ渋ると437円安の32,453円で前場を終えましたが、昼過ぎに金融政策決定会合の結果が伝わると、後場寄り直後に急速に下げ幅を縮め12時40分前には44円安の32,846円まで持ち直しました。しかし、戻し切れないと再び下げ幅を大きく広げ13時10分過ぎには853円安の32,037円まで下落しました。その後節目の32,000円を前に下げ渋ると引けにかけて大きく持ち直しましたが、引き続き軟調に推移すると結局131円安の32,759円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
日銀が金融政策決定会合で長短金利操作の運用の柔軟化を決めたことで銀行株が買われました。大手銀行株では三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が5.3%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が4.3%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が4.8%高、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)が2.7%高、りそなホールディングス(8308)も8.2%高となり、三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングスは年初来高値を更新しています。地銀株も高くコンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)が3.9%高となり年初来高値を更新したほか、千葉銀行(8331)も4.7%高となりました。また、生保株も買われ第一生命ホールディングス(8750)が7.2%高、T&Dホールディングス(8795)も7.5%高となり年初来高値を更新しています。さらに第1四半期決算を発表した富士電機(6504)も4.7%高となりました。電気自動車(EV)の普及を受けてパワー半導体の販売の伸びが見込まれることや、想定為替レートを円安方向に見直したことなどで940億円とみていた通期の営業利益の見通しを960億円に上方修正したことから大幅高となりました。
一方で第1四半期決算を発表した富士通(6702)や日野自動車(7205)が大幅安となりました。富士通は半導体需要の低迷が響き第1四半期の営業損益が16億円を超す赤字となったことから3.9%安となり、日野自動車も国内での出荷停止に伴いメーカーなどへの補償として特別損失を計上したことなどで第1四半期の最終損益が165億円を超す赤字となったことから9.6%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は131円安となりました。米景気の強さを示す経済指標の発表が相次いだことで利上げ継続観測が再燃し昨日の米国市場が下落となったことや、日銀が金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の運用を柔軟化すると決めたことで売りが優勢となりました。金融政策決定会合の結果を受けて一時は850円以上下げ節目の32,000円に迫る場面もありました。しかし、引けにかけて持ち直すと大きく下げ幅を縮めて取引を終えています。日銀の金融政策決定会合は現状維持との見方が多かっただけに値動きの荒い一日となりましたが、中銀ウィーク終了で来週は一段と決算発表に注目が集まりそうで、決算発表を支えに水準を切りあげることができるかがポイントとなりそうです。
なお、本日も引け後にはコマツ(6301)や日立(6501)、ファナック(6954)、SCREENホールディングス(7735)、KDDI(9433)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する6月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表されるほか、23時には7月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)