東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。144円安の32,523円で寄り付いた日経平均は直後に164円安の32,503円まで下落しました。しかし、朝方の売り一巡後に持ち直し9時30分前にプラスに転じると後場に入り13時20分前には270円高の32,938円まで上昇しました。その後は伸び悩みましたが、引き続き高値圏で堅調に推移すると結局222円高の32,891円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

カプコン(9697)が一時16.1%高となり上場来高値を更新しました。6月に発売した「ストリートファイター6」が約200万本のヒットとなったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で99.4%増となり、通期予想に対する進捗率が42.9%となったことから買いを集めました。また、JCRファーマ(4552)も第1四半期の営業利益が前年同期比で34.5%増となり、通期予想に対する進捗率が36.9%となったことから業績の上振れを期待した買いが入り一時8.8%高となりました。さらにシャープ(6753)も一時6.1%高となりました。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が傘下のシャープに対し、改善計画の策定を要請したと伝わったことを材料視した買いが入りました。

一方で日東電工(6988)が一時7.1%安となりました。データセンター向けの高容量ディスクドライブの需要が低迷し回路基板の需要が減ったことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で41.8%減となったことから大幅安となりました。同じく第1四半期決算を発表した日産(7201)も一時5.2%安となりました。通期の営業利益の見通しを5200億円から5500億円に上方修正しましたが、今期の世界販売台数は中国事業の不振が響き計画を30万台下回ることを懸念した売りが優勢となりました。第3四半期決算を発表したサイバーエージェント(4751)も一時13.0%安となり年初来安値を更新しました。大ヒットしたゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の人気が一巡した影響などにより400億円から500億円とみていた2023年9月期の営業利益の見通しを250億円に下方修正したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は222円高となりました。円高を受けて売りが先行しましたが、節目の32,500円を前に下げ渋ると持ち直し、米連邦公開市場委員会(FOMC)を大きな波乱なく通過したことによる安心感もありプラスに転じました。前場は上値抵抗線として意識されやすい25日移動平均線(32,754円)近辺で伸び悩む場面もありました。しかし、後場に一段高になると25日移動平均線を上回って取引を終えています。そのため調整一巡との見方も出てきそうです。なお、明日は昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定です。現状維持との見方が多いとみられますが、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正に動くとの観測も一部にあることから結果が注目されます。また、先週から決算発表がスタートしています。本日も引け後には信越化学工業(4063)や日立建機(6305)、富士通(6702)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、キヤノン(7751)などが決算を発表する予定です。

さらに日本時間の本日21時15分には欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数や4-6月期の米実質国内総生産(GDP)速報値が発表される予定で、27日の米国ではインテル[INTC]やマクドナルド[MCD]などの決算発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)