米ドル/円 週間予想レンジ:140.00~144.30

メインストラテジー:レンジ取引

・日銀会合待ちも噂が先行
・調整波の位置付けは不変
・高値再更新なしの公算

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週切り返し、陽線で大引けした。先々週の大陰線に「孕まれる」形で大きな「インサイド」のサインを形成し、下落一服を鮮明化させた。

もっとも、先々週の「売られすぎ」に対する反動(切り返し)が先行していたところ、先週7月21日に「日銀政策維持」の報道が相次ぎ、戻り幅を拡大させ、一気に142円関門手前までの反騰をもたらしたため、日銀政策に関する思惑に左右された側面が大きかった。

この意味合いにおいて、今週は142円関門以上に定着できるかどうかがポイントとなり、定着できれば、最大144円前半までの打診も想定しておきたいが、高値再更新さえなければ、米ドル/円の頭の重い構造は不変とみている。

というのは、先々週142円関門手前までの打診をもって頭の重い構造を示したため、先週の大幅切り返しがあったとはいえ、142円関門を素直に上回れるかどうかをまず確認しておかないと、シナリオが流動的になる恐れがある。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えており、マーケットは米利上げや日銀政策不変をすでに織り込んでおり、今週値幅限定する可能性も大きい。

年初来の切り返しは、大型ジグザグ変動をもって展開され、一旦145円大台をトライしたものの、日銀政策修正の思惑もあって、米金利の低下とともに、米ドル/円は急落、一旦137円台を再打診した経緯に鑑み、同安値を起点とした再上昇を過大評価すべきではないだろう。

3月安値を起点とした上昇波を前述のジグザグ変動における最終小波と数え、同「上昇ウェッジ」のフォーメーションの形成やその後の下放れも教科書通りの展開、137円台からの切り返しは日銀政策維持があっても、推進波として数えにくいだろう。むしろ材料の通過を待ってから再度反落してくる公算が大きい。

7月21日の大陽線に対して、再度高値更新の有無が目先の焦点となってくるだろう。上放れできれば、最大144円前半の打診ありという見方は、前述の「上昇ウェッジ」の支持ライン(延長線)の再打診を想定した推測だが、日銀会合前のトライは容易ではないだろう。その半面、日銀会合通過後の打診があれば、高値を追うべからず、冷静なスタンスを維持したい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:94.50~97.00

メインストラテジー:押し目買い

・調整波一服の公算
・底割れ回避で強気
・豪ドル対米ドルは堅調

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週切り返し、週足では「スパイクロー」の陽線を形成した。先々週続落し、週足では「弱気リバーサル」のサインを点灯しただけに、下げ止まり、または底割れ回避を示すサインとなり、これから堅調な値動きになりやすいだろう。

とはいえ、97円関門を上回れなければ、完全な強気変動への復帰はないだろう。先々週の続落があっただけに、頭の重い構造を早期に打破できるかどうかは定かではない。日銀政策決定待ちで一旦保ち合いの先行も十分想定される。

もっとも、今月初頭に一旦切り返したものの、値幅は極めて限定的で、頭の重い構造を示した。6月19日に高値を一旦更新してから反落し、上昇一服を示唆、また日足において一旦頭打ちのサインを鮮明化させたため、先々週までの調整を自然の成り行きとみている。

日足では、6月19日に高値を更新してから反落し、6月20日の続落で頭の重さを示唆、そして、6月23日の陰線が「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインと化し、一旦頭打ちを決定させた。そうなると、高値再更新があっても時間がかかり、一気に高値更新することは容易ではないと思われる。

そのため、これから97円関門の回復なしではしばらく高値トライの機運は高まらず、今週も同じ見方が維持されるだろう。

その半面、先週末の続伸で一旦96円後半を打診し、底割れの様子も露呈された。7月4日の「フォールス・ブレイクアウト」のサインが点灯し、また94円後半への反落が見られただけに、93円台への続落を覚悟していたため、先週93円台を守り、また上々に切り返してきたところは評価でき、底堅い推移になりやすいだろう。

詰まるところ、頭の重い構造の確認があっても、それはこの前の急伸に対する反動であり、たちまちベアトレンドへ転換することもない。さらに、ベアトレンドへの展開自体のハードルが高く、米ドル全体が軟調な推移になってきた以上、豪ドル/米ドル次第の可能性も先々週のコラムで解説した通りである。先週豪ドル対米ドルの強気変動がなお維持され、対円でもしばらく高値圏でのレンジ変動に留まり、93円関門割れなしでは遅かれ早かれ97円関門を突破し、再度高値更新に照準を当ててくるだろう。日銀会合通過待ちでじっくり下値を拾いたい。