先週、S&P500は2.42%上昇、2022年4月来の高値を更新しました。ナスダック100も先週、3.52%上昇しています。先週は小型株指数であるラッセル2000は3.56%上昇と、大型株指数のS&P500をアウトパフォームしており、マーケットの裾野が広がっていることが窺えます。

上昇のきっかけは6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が、市場の予想を下回り、インフレ抑制策の効果が出ている可能性があるという市場の見方をサポートする内容となったことです。これにより市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は7月の政策会合で利上げを行った後、年内に2回目の利上げをする必要がないかもしれないという見方が浮上しました。

米銀大手の決算は経済の持続性を示唆するも、景気後退の可能性を警戒

また7月14日(金)は恒例の米国大手銀行の決算発表で、第2四半期の決算シーズンの幕が開きました。JPモルガン・チェース[JPM]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]は、純営業収益と純利益の予測を上回っています。JPモルガンの純利益は前年同期比で67%増加、ウェルズ・ファーゴの純利益も57%上昇しました。大手銀行の決算発表が経済の持続性を示唆する一方、経営陣は引き続き景気後退の可能性を考えています。より広範な米国経済の見通しを理解するためには、今週の地方銀行やコミュニティ銀行の決算発表が参考となるでしょう。

決算発表は始まったばかりです。決算発表が始まる前の予想では今期は前年同期比で9%の減益予想でした。しかし、先週14日(金)までに28社が決算発表を終えた現時点では12.75%の増益となっています。

久しぶりにコンセンサスを上回る企業が増加

米国では決算発表前に業績についてのガイダンス(プレアナウンス)を発表します。発表された内容がマーケットのコンセンサスを上回るとポジティブガイダンスとされ、コンセンサスを下回るとネガティブガイダンスと定義されます。今回については、過去5年、10年の平均を上回る113社がガイダンス発表を行っています。この113社のうち、67社がネガティブガイダンス、46社がポジティブガイダンスです。ネガティブガイダンスを出している企業の数は、過去5年間の平均57と過去10年の35社を上回っている一方、ポジティブガイダンスを発表している企業の数も5年平均の40社、10年平均35社を上回っています。

今回の特徴としては、過去1年間でネガティブガイダンスを発表している企業はそれほど珍しくなかったものの、今回ポジティブガイダンスを発表している企業数は、2021年第3四半期以来ということですから、久しぶりにコンセンサスを上回る企業が増えてきたということです。セクター的にみると、やはりITセクターと工業セクターが最も多く、この2つのセクターが、全体のポジティブガイダンスの半分を占めています。

今週注目の米国企業の決算発表

今週はS&P500採用銘柄のうち66社が決算発表を行う予定です。
以下は注目の決算発表の予定日です。

7月18日(火):バンク・オブ・アメリカ[BAC]、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループ[PNC]

7月19日(水):ゴールドマン・サックス[GS]、アルコア[AA]、アイ・ビー・エム[IBM]、ネットフリックス[NFLX]、テスラ[TSLA]、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス[UAL]

7月20日(木):ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]、アメリカン航空グループ[AAL]

7月21日(金):アメリカン・エキスプレス[AXP]