東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて4日続落となりました。322円安の32,450円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で445円安の32,327円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に下げ幅を縮めると後場に入りまもなくして42円安の32,730円まで持ち直しました。しかし、戻し切れないと再び下げ幅を広げ結局384円安の32,388円で取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

第1四半期決算を発表したオンワードホールディングス(8016)やヨンドシーホールディングス(8008)が大幅高となり年初来高値を更新しました。オンワードホールディングスは外出機会の増加に伴う消費回復や、不採算店舗の閉鎖といった構造改革が見込まれることから70億円とみていた通期の営業利益を100億円に上方修正したことで19.0%上昇しストップ高となりました。ヨンドシーホールディングスも主力のジュエリー事業が店舗集約による効率化で採算が改善したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比87.3%増となり、上期予想に対する進捗率が90.9%となったことから業績の上振れを期待した買いが入り一時7.7%高となりました。また、同じく第1四半期決算を発表したわらべや日洋ホールディングス(2918)も新型コロナウイルス禍からの経済再開で人流が回復し、コンビニエンスストア向けのおにぎりなどが好調だったことで第1四半期の営業利益が前年同期比39.9%増となったことから一時21.8%高となり年初来高値を更新しています。

一方でエーザイ(4523)が一時8.1%安となりました。米バイオジェン[BIIB]と開発した認知症新薬「レカネマブ」を米食品医薬品局(FDA)が正式承認し、これを受けて米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」もレカネマブを保険適用対象に選定しましたが、承認や保険適用への期待は既に織り込み済みだったことから材料出尽くしとなりました。切削工具大手のオーエスジー(6136)も一時6.6%安となりました。中国経済の減速を受け利益率の高いネジ穴加工用工具の販売が落ち込んだことや、電力費や人件費の高騰も響き上期の営業利益が前年同期比で3.6%減となったことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は384円安となりました。6月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数が市場予想を大きく上回ったことから金融引き締めの長期化への懸念が強まり昨日の米国市場が続落となったことで売りが優勢となりました。そのため調整局面入りへの警戒感が一段と高まりそうですが、その一方で6月27日の取引時間中に付けた安値(32,306円)を前に下げ渋ったことから週明けに反転となれば調整一巡への期待も出てきそうです。なお、2月決算企業の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後には安川電機(6506)やライフコーポレーション(8194)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には6月の米雇用統計が発表される予定です。米連邦準備理事会(FRB)による今後の金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)