東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに大幅反発となりました。269円高の32,807円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分弱で346円高の32,885円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時20分前に104円高の32,642円まで上げ幅を縮めました。しかし、その後持ち直すと後場に入って一段高となりました。結局、日経平均は655円高の33,193円と高値引けで取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
スギホールディングス(7649)が一時9.1%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス禍の行動制限の緩和で外出機会が増え化粧品や日焼け止めなどの販売が好調だったうえ、調剤部門も伸びたことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で16.6%増となったことから大幅高となりました。婦人服大手のハニーズホールディングス(2792)も一時13.5%高となり年初来高値を更新しました。コロナ禍の規制緩和が進み経済活動が正常化へと向かったことに加え、全国的な気温の上昇で外出機会が増え客数が想定を上回ったことなどで2023年5月期の業績予想を上方修正したことから買いを集めました。日本板硝子(5202)も7.9%高となりました。オランダの合弁会社がロシアのガラス製造販売子会社を売却したことに伴う減損損失の戻し入れなどで第1四半期に約50億円の利益を計上し、ロシアから完全に撤退すると本日10時に発表してから直後に一段高となりました。ニデック(6594)も3.3%高となりました。成層圏に通信基地局を浮かべる「空飛ぶ基地局(HAPS)」向けのモーターをソフトバンク(9434)と共同開発したと発表したことを材料視した買いが入りました。
また、昨日の米国市場でデルタ航空[DAL]などの空運株が買われた流れを受けて日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が高く、日本航空が一時3.1%高、ANAホールディングスも一時3.0%高となり揃って年初来高値を更新しています。一方で川崎汽船(9107)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて6.2%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は655円高となりました。市場予想を上回る経済指標の発表が相次いだことで景気悪化への懸念が後退し昨日の米国市場が反発したことや、一時144円台前半まで進んだ円安もあり買いが優勢となりました。朝方の買い一巡後には伸び悩む場面もありましたが、後場に一段高になると大きく上げ幅を広げました。昨日は一時390円以上下げる場面がありましたが、下値の目途として意識されやすい25日移動平均線をサポートに下げ渋りました。その翌日に大きく反発し33,000円台を回復したことで調整一巡への期待が一段と高まりそうで、高値引けと強い終わりとなったことで16日に付けたバブル崩壊後の高値(33,706円)更新への期待も出てきそうです。なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後にはJ.フロント リテイリング(3086)などが決算を発表する予定です。
また、日本時間の22時30分には欧州中央銀行(ECB)主催の金融シンポジウム「ECBフォーラム」でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長やラガルドECB総裁、植田和男日銀総裁らがパネル討議に参加するほか、29日の午前5時30分にはFRBが銀行のストレステストの結果を公表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)