東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて4日続落となりました。68円安の32,629円で寄り付いた日経平均は取引から5分余りで9円安の32,689円まで持ち直しましたが、戻し切れないと下げ幅を大きく広げ10時30分に391円安の32,306円まで下落しました。その後、日経平均は下げ幅を縮めると節目の32,500円を回復しました。しかし、引き続き軟調に推移すると結局160円安の32,538円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

円安による業績の上振れが期待されるなか大手海運株が大幅高となりました。川崎汽船(9107)が目標株価と投資判断の引き上げもあり一時12.1%高となり年初来高値を更新したほか、日本郵船(9101)が一時3.9%高、商船三井(9104)も3.1%高となりました。壱番屋(7630)も一時6.4%高となり年初来高値を更新しました。2022年の6月と12月に実施した値上げにより採算が改善したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で2.4倍となったことから買いが優勢となりました。

一方でしまむら(8227)が一時4.0%安となりました。円安や原材料高で商品の仕入れコストが膨らんだうえ、人件費の増加もあり第1四半期の営業利益が前年同期比で0.6%減となったことから売りが優勢となりました。そーせいグループ(4565)も22.2%下落しストップ安となりました。提携先の米製薬大手のファイザー[PFE]がそーせいグループの技術を利用した肥満・糖尿病治療向け経口薬の開発を中止すると発表したことから売りが膨らみました。

また、国税庁が「マンション節税」や「タワマン節税」の防止に向け、相続税の算定ルールを見直す方針を固めたと伝わったことから不動産株が安く、三菱地所(8802)が一時2.4%安、三井不動産(8801)が一時2.9%安、住友不動産(8830)と野村不動産ホールディングス(3231)も一時3.6%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は160円安となりました。ハイテク株に売りが出て昨日の米国市場が下落となったことから続落となり、一時は390円以上下げ節目の32,500円を割り込む場面もありました。しかし、下値の目途として意識されやすい25日移動平均線(32,273円)近くまで下落した後に切り返し、下げ幅を縮めたことから調整一巡への期待も出てきそうです。

なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の第1四半期決算発表が本格化しています。本日も引け後にはスギホールディングス(7649)が決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には5月の米耐久財受注額が発表されるほか、23時には6月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数などが発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)