東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は4日続伸となりました。312円高の33,331円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分弱で459円高の33,478円まで上昇しましたが、節目の33,500円を前に上値が押さえられると9時30分過ぎに185円高の33,203円まで上げ幅を縮めました。しかし、後場に入ると一段高となり14時20分過ぎに646円高の33,665円まで上昇しました。その後、日経平均は上げ幅を縮めましたが、節目の33,500円近辺で堅調に推移すると結局483円高の33,502円で取引を終え、バブル崩壊後の高値を昨日に続いて更新しています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
コマツ(6301)が一時5.6%高となり年初来高値を更新しました。昨日の米国市場でキャタピラー(CAT)が3%以上上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなったことでコマツにも物色の矛先が向かいました。日立建機(6305)も一時4.2%高となり年初来高値を更新しています。トヨタ(7203)も一時8.1%高となり年初来高値を更新しました。2027年にも次世代電池の「全固体電池」を搭載した電気自動車(EV)を投入すると明らかにしたことを好感した買いが継続し、昨日に続いて大幅高となりました。また、140円台前半まで円安が進んだことで他の自動車株も高く、ホンダ(7267)が一時4.7%高、SUBARU(7270)が一時3.7%高、日産(7201)とマツダ(7261)も一時3.0%高となり、ホンダとSUBARU、マツダが年初来高値を更新しています。さらに日経平均が大幅高となるなか指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)が一時4.1%高となり2021年3月に付けた上場来高値を約2年3ヶ月ぶりに更新しています。
一方で美容健康機器を手掛けるヤーマン(6630)が7.6%安となりました。ヘアケア製品や男性向けシェーバーなど新しいカテゴリーでの広告宣伝費や海外での認証取得費用など先行投資がかさんだことで2023年4月期の営業利益が前期比で10.8%減となったことから売りが膨らみました。「業務スーパー」をフランチャイズチェーン展開する神戸物産(3038)も4.7%安となりました。輸送費や人件費などの経費が増えたうえ、為替予約に伴うデリバティブ評価損などもあり上期の純利益が前年同期比で17.5%減となったことから大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は483円高となりました。5月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことで物価上昇圧力が和らぎつつあるとの見方が広がり昨日の米国市場が続伸となったことから買いが優勢となり大幅高となりました。朝方の買い一巡後には伸び悩む場面もありました。しかし、後場に入って再び上げ幅を広げると節目の33,500円を上回って取引を終えました。そのため地合いの堅調さが強く意識されそうですが、4日間で1,800円以上上げ、25日移動平均線(31,181円)との乖離率も7.4%まで広がっていることから高値警戒感も出てきそうです。なお、日本時間の15日午前3時には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表される予定です。今回は利上げが見送られるとみられていることから参加者の政策金利見通し(ドットチャート)に関心が集まりそうで、政策金利をどこまで引き上げる必要があると参加者がみているかが焦点となりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)