5日移動平均線の上昇が続き、株価水準も切り上がる展開が続く

日経平均株価の上昇が止まりません。株価水準が高くなると、人間の心理としては「高所恐怖症」となってしまいますが、テクニカル分析では、高値更新が続くと上昇トレンドが継続中と判断し、トレンドに合わせたポジションを持つことがセオリーとなります。

それが、現在のように上昇トレンドの場合は買いポジション、下降トレンドの場合は売りポジションとなります。日経平均の場合、上向きの5日移動平均線上を維持していることもあり、上昇トレンドが継続中で、売りポジションを持ってはいけない状況となります。

例えば、6月7日と8日の2日間で大きく下落する場面がありましたが、この下落場面でも5日移動平均線は上向きを維持しており、上昇トレンドが続いていると判断する局面となっているのが分かります。

また、6月9日には切り返して始まると、上向きの5日移動平均線上を回復してさらに上昇が続き、6月13日にはついに33年ぶりとなる33,000円台に乗せて終えました。

このような状況から、上向きの5日移動平均線上を維持する状態が続いている間は、上昇トレンドと判断して売りポジションは持たないようにするのがセオリーということになるのです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成

ローソク足の異なる組み合わせが発生

そのような中、ローソク足の組み合わせで、意味の異なる組み合わせが連続して発生しています。まずは6月6日と7日のローソク足の組み合わせです。6月6日は長い陽線が発生していますが、その翌営業日の6月7日は6日の高値から安値までを包み込む陰線が発生していいます。

このような陽線と陰線の組み合わせが高値で発生した場合、「陰線の包み足」と言って、トレンド転換を示唆する組み合わせとされます。

一方で、6月8日と9日のローソク足の組み合わせを見ますと、「陰線の包み足」が発生した翌営業日の6月8日に下落していることからトレンドが変わる可能性が高まりましたが、6月9日には8日の陰線の始値をわずかに上回って始まった後、陽線を形成し、5日移動平均線を上回っているのが分かります。

このような6月8日と9日の組み合わせは、「行き違い線」と言って、それまでのトレンドが変わることを示唆する組み合わせとされており、「陰線の包み足」の発生によって下降トレンドが入りの可能性が出てきたところで、その下降トレンドの発生を打ち消す「行き違い線」が発生したことになり、売りポジションを持っている投資家は、直ぐに買い戻さなければならないポイントということになりました。

このようなトレンド転換の攻防が発生した後に株価上昇が続いているわけですから、株価水準が大きく切り上がっているのも納得できるのではないかと思います。

モメンタムは高水準を維持するも低下には注意

では、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見るとどうでしょうか?

モメンタムは、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回ったままの状態が続く中、前述の「陰線の包み足」と「行き違い線」が発生する中で上下に変動していますが、6月13日時点では、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が上向きに変化しているのが分かります。

このようにモメンタムとシグナルが0ラインを上回ったままで高水準を続けるとともに、5日移動平均線が上向きを続ける中、株価が5日移動平均線上を維持するようですと、さらに株価水準が切り上がることが考えられますので、売りポジションは引き続き持ってはいけないことになります。

ただし、モメンタムとシグナルが下向きに変化して低下が続くようですと、5日移動平均線を下回って5日移動平均線が下向きに変化することも視野に入ってきますので、売り時を逃さないようにしたいところです。