東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続落となりました。35円安の31,877円で寄り付いた日経平均は10時30分前に122円高の32,035円を付ける一方で、10時50分前に65円安の31,848円を付けるなど、前場は昨日の終値を挟んで一進一退の展開となりました。

しかし、後場に入って売りが優勢になると下げ幅を大きく広げ14時過ぎには493円安の31,420円まで下落しました。その後、節目の31,500円を割り込んだところで押し目買いが入ると日経平均は下げ幅を縮めましたが、上値は重く結局272円安の31,641円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が一時10.4%高となり年初来高値を更新しました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー病治療薬の「レカネマブ」が近く米食品医薬品局(FDA)の完全承認を得る可能性が高いことがFDAのスタッフ文書で示唆されたと伝わったことから買いを集めました。

サニックス(4651)も一時11.9%高となり年初来高値を更新しました。東日本大震災後に急速に普及した太陽光パネルが2030年代半ばに一斉に寿命を迎えることなどから使用済み太陽光発電パネルのリサイクル事業に参入すると伝わったことで買いを集めました。

システム開発のアイル(3854)も一時13.0%高となり上場来高値を更新しました。業務管理システムの販売が好調で第3四半期の営業利益が前年同期比で71%増となり通期の業績予想に対する進捗率が85.1%となったことから業績の上振れを期待した買いが入りました。

専門性が高い商材の中古品や新品をネットと店舗で販売するシュッピン(3179)も一時7.1%高となりました。主軸のカメラ事業で新商品の売れ行きが好調だったことなどで5月の売上高が前年同月比で16.6%増と高い伸びとなったことから大幅高となりました。

一方でラウンドワン(4680)が7.1%安となりました。ボウリングの売上高がコロナ前の水準まで回復したことなどから5月の総売上高が前年同月比で10.7%増となりましたが、4月の19.8%増から伸びが鈍化したことで売りが優勢となりました。また、投資判断や目標株価の引き下げを受けてパーソルホールディングス(2181)やHOYA(7741)が安く、パーソルホールディングスが投資判断と目標株価の引き下げを受けて5.6%安となり、HOYAも投資判断の引き下げを受けて3.9%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は272円安となりました。昨日の米国市場が高安まちまちとなり材料に乏しいなかで前場は一進一退の展開となりましたが、後場に入って売りが優勢になると下げ幅を大きく広げ一時は490円以上下落する場面もありました。

しかし、一昨日までの4日間で1,600円も上げるなど急ピッチでの上昇が続いてきただけに本日も昨日同様にスピード調整だったとみることもできそうで、2日間の下げ幅の合計が860円以上となったことから調整一巡への期待も出てきそうです。なお、21時30分には米新規失業保険申請件数が発表される予定です。また、明日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)