東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅に3日続伸となりました。339円高の31,864円で寄り付いた日経平均は10時10分過ぎに469円高の31,993円まで上昇した後、節目の32,000円を前に一旦伸び悩みました。しかし、大きく押すことなく堅調に推移すると再び上げ幅を広げ後場に入り一段高となりました。結局、日経平均は693円高の32,217円と高値引けで取引を終え、バブル崩壊後の高値を更新しています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

コマツ(6301)が一時6.0%高となり年初来高値を更新しました。先週末の米国市場でキャタピラー(CAT)が8%を超える上昇となったことでコマツにも物色の矛先が向かいました。日立建機(6305)も買われ一時7.0%高となり、こちらも年初来高値を更新しています。ファーストリテイリング(9983)も3.9%高となりました。夏物商品の販売が好調で5月の国内ユニクロの既存店売上高が前年同月比で4.4%増となったことから大幅高となりました。

また、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」が協調減産の枠組みを2024年末まで延長すると決めたことで石油関連株が買われました。INPEX(1605)が一時3.1%高となったほか、石油資源開発(1662)が一時3.3%高、出光興産(5019)が一時2.8%高、ENEOSホールディングス(5020)も一時2.9%高となりました。

さらに円安を受けて自動車株が高く、トヨタ(7203)が一時2.4%高、日産(7201)が一時4.1%高、ホンダ(7267)が一時3.4%高、マツダ(7261)が一時6.8%高、SUBARU(7270)も一時4.2%高となり、トヨタとホンダ、SUBARUは年初来高値を更新しています。

一方で本決算を発表した調剤薬局大手のアインホールディングス(9627)が12.9%安となり年初来安値を更新しました。物価上昇に対応して従業員の給与を引き上げるうえ、店舗で使う電気代が増えることなどで2024年4月期の営業利益が前期比で2.1%減となる見通しを示したことから売りが膨らみました。ニトリホールディングス(9843)も一時2.8%安となりました。前年に比べ気温の低い日が続いたことなどで5月の既存店売上高が前年同月比で4.5%減となったことから売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は693円高となりました。米債務上限停止法案が議会を通過し債務不履行(デフォルト)が回避されたことや、米雇用統計で賃金の伸びが鈍化したことで米連邦準備理事会(FRB)が次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを見送るとの見方が強まったことで先週末の米国市場が大幅続伸となり、ダウ平均が今年最大の上げ幅となったことから大幅高となりました。朝方は節目の32,000円を前に伸び悩む場面もありました。しかし、大きく押すことなく堅調に推移すると一段高となり1990年7月以来およそ33年ぶりに32,000円台を回復し、今年最大の上げ幅となりました。

そのため先高期待が一段と高まりそうですが、この3日間で1,300円以上上げ、25日移動平均線(30,206円)との乖離率が6%超まで広がり短期的な過熱感が再び意識されるなかで明日以降も堅調さを維持し、ここからさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の23時には5月の米ISM非製造業景況感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)