東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は5日ぶりに反落となりました。271円安の31,057円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分で399円安の30,928円まで下落しましたが、米下院議事運営委員会で連邦債務上限を一時的に停止する法案が7対6の賛成多数で可決されたと伝わると持ち直し10時30分前に185円安の31,142円まで下げ幅を縮めました。しかし、10時30分に発表された中国の5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことから再び下げ幅を広げると14時10分には542円安の30,785円まで下落しました。その後、日経平均は引けにかけてやや下げ幅を縮めましたが、上値は重く結局440円安の30,887円で取引を終えています。一方で新興株が堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

日野自動車(7205)が一時15.0%高となり年初来高値を更新しました。独ダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスと経営統合で基本合意したと発表したことから認証不正問題で業績が低迷している日野自動車の経営立て直しが進むとの期待が高まりました。四国電力(9507)も一時5.8%高となり年初来高値を更新しました。家庭向け規制料金の値上げの認可を19日に受けたことから未定としていた2024年3月期の業績予想を発表し営業損益が前期の123億円の赤字から350億円の黒字に転換する見通しを示したことで買いが優勢となりました。AIの開発を手掛けるHEROZ(4382)も一時12.0%高となり年初来高値を更新しました。USEN-NEXT HOLDINGS(9418)などと、「ChatGPT」を活用し顧客接点業務の効率化や業務量予測などのマネジメントの自動化に向けてプロジェクトを開始したと発表したことを材料視した買いが入りました。

また、機械商社の第一実業(8059)が1株を3株にする株式分割を発表したことから一時5.6%高となり年初来高値を更新したほか、上下水道のコンサルタントを手掛けるNJS(2325)も株主優待制度の導入を発表したことから一時7.6%高となり年初来高値を更新しました。さらに投資判断や目標株価の引き上げを受けてアサヒグループホールディングス(2502)や東京製鉄(5423)が高く、アサヒグループホールディングスが目標株価の引き上げを受けて一時2.8%高となり、東京製鉄も投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時2.9%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は440円安となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料になりにくいなか、ドル円が円高となっていたことから売りが優勢となりました。また、中国の5月の製造業PMIが前月比0.4ポイント低下の48.8となり市場予想を下回ったことから下げ幅を広げ節目の31,000円を割り込みました。しかし、昨日時点で25日移動平均線との乖離率が5%を超え短期的な過熱感があったことからすると必要なスピード調整だったとみることもできそうで、本日の下げで25日移動平均線との乖離率が3%台半ばまで低下したこともあり調整一巡後への期待も出てきそうです。なお、日本時間の22時45分には5月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表されるほか、6月1日の午前3時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される予定です。さらに31日の米国ではセールスフォース・ドットコム(CRM)の決算発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)