日経平均は、遂に31,000円を突破しました。バブル後の最高値更新となります。中国向け投資マネーの流入やPBR1倍割れをやり玉に挙げた東証の改革推進、さらに金利上昇懸念の後退、経済活動水準の回復、インバウンド増など、概して好材料が期せずして重なったことがその背景にあると言えるでしょう。

ただし、急ピッチの上昇に高値警戒感もまた俄かに高まってきました。そこまで日本の景気は強くないという指摘もよく聞かれるようです。もちろん、私も楽観は禁物との見方に異論はありません。しかし、一方でこういった高値警戒感が出てくるのもまた健全なことであり、こういった見方の交錯があるうちは、まだ上値があるのではとも思っています。

相場格言で言えば、「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というものがあります。現在はまだ懐疑の中と捉えたいところでしょう。

2023年は、世界的スポーツイベントが盛りだくさん

さて、今回は「スポーツイベント」をテーマに採り上げてみましょう。実は2023年が世界的なスポーツイベントの集中する1年であることはあまり知られていないかもしれません。

3月に日本中が熱狂したワールドベースボールクラシック(WBC)に続き、今月は世界卓球、7月にはサッカーの女子ワールドカップ、8月にはバスケットボールのワールドカップ、そして9月にはラグビーのワールドカップが控えています。7月以降しばらくは、「毎月」という感じで世界大会が目白押しになっているのです。

かつて「世界」は遠く、「日本」という箱庭がスポーツの主戦場でした。しかし、才能ある選手の世界への挑戦が全体の水準を徐々に底上げし、直近はそういった若手の躍動もあって、まさに「世界で戦える」競技が続々と生まれることとなりました。これから予定されている世界大会においても、日本チームの健闘が盛り上がりを生むことでしょう。

それに伴って、競技そのものへの関心が高まり、日本戦以外のカードにも目を向ける方が着実に増えると想像します。そうやってスポーツを観る目が肥えることが、またレジャーとしてのスポーツの裾野を広げ、人生をより楽しく豊かにしていく原動力になっていくものと私は考えます。

有料スポーツチャンネルの経済効果に期待

そのようなスポーツの盛り上がりは、当然経済効果を生むことになるはずです。スポーツイベントを契機に、放送でゲームを楽しむ視聴者が増加するのではないでしょうか。実際、かつては地上波テレビ受像機でスポーツイベント関連特需が度々発生し、投資対象として物色対象に挙げられていました。

直近は有料チャンネルにて、オンデマンドでかつ質の高いスポーツのゲーム実況を楽しもうという向きが増えてきたことを考えると、有料スポーツチャンネルなどがおそらく物色対象銘柄になるのではないでしょうか。

日本における有料スポーツチャンネルではDAZNやスカパー!、WOWWOW、Jスポーツ、Yahooプレミアムなどがありますが、最近ではサイバーエージェント(4751)が展開するAbemaTVでも実況がなされるようになりました。このうち、DAZNは海外資本の未上場企業であるため、その株式に直接投資をすることはできませんが、業務提携を締結している、あるいはDAZN株式を保有している企業は日本にありますので、一度調べてみられるのも良いでしょう。

これら有料チャンネルは一旦加入すると継続的に契約を延長する傾向が高い分、持続的な業績への寄与が期待できるというシナリオも描けるのでは、と考えています。

株式投資の観点から注目する、スポーツイベント関連銘柄

また、スポーツ観戦では必ずと言って目に入ってくるのが放映時のCMや競技場の看板で示されているスポンサー企業の名前です。前述の3つのワールドカップのうち、バスケットでは一部の試合が日本で行われることもあり、特にスポンサー企業の広告効果は一定のものが期待できるのではないでしょうか。

海外が開催地となる女子サッカーやラグビーにおいても、CMではスポンサー企業のものが優先的に流れる可能性があります。応援に熱が入れば、自ずとそういったスポンサー企業の名前も頭に残り、それが企業の認知度を引き上げ、製品の売上増などに繋がるというシナリオも十分想像できるところです。関連銘柄として、そういった企業群に目を向けるというのも一手かもしれません。

ちなみに、女子サッカーチームの上場スポンサー企業は、キリンホールディングス(2503)、共立メンテナンス(9616)、クレディセゾン(8253)、KDDI(9433)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、MS & ADインシュアランスグループ(8725)、TOYO TIRE(5105)、日本トリム(6788)などです。

バスケットチームの上場スポンサー企業は、ソフトバンク(9434)、富士通(6702)、三井不動産(8801)、アシックス(7936)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、パソナグループ(2168)、乃村工藝社(9716)、ローソン(2651)、ワールド(3612)、ニチバン(4218)、日本たばこ産業(2914)、明治ホールディングス(2269)、日本航空(9201)、ゼビオホールディングス(8281)などが挙がります。

ラグビーチームではトップパートナーである大正製薬ホールディングス(4581)を筆頭に、東芝(6502)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、セコム(9735)、ゴールドウイン(8111)がオフィシャルパートナーとして名を連ねています。

こうやってみると、一般消費者向けを主戦場とするB2C企業が多いことに改めて気がつきます。最近は単なる商品広告よりも、その背景にあるストーリーやブランドの価値感を前面に押し出した広告が消費者への訴求力を高めていることを考えれば、世界的なスポーツイベントは、まさにスポンサー企業のイメージ向上に大きく寄与する可能性があると言えるのかもしれません。さて、WBCに続き、日本代表チームの躍動への期待が高まりますね!