東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は続伸となりました。72円高の29,199円で寄り付いた日経平均は朝方に15円高程度まで弱含む場面がありましたが、マイナスとなることなく踏み止まると上げ幅を広げ後場寄り直後には285円高の29,412円まで上昇しました。その後一旦伸び悩みました。

しかし、引けにかけてやや上げ幅を広げると大引け間際に299円高の29,426円まで上昇し結局261円高の29,388円で取引を終え年初来高値を更新しています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表した日産(7201)やホンダ(7267)が大幅高となりました。日産は半導体など部品不足の緩和で生産台数が回復することなどで2024年3月期の営業利益が前期比で37.9%増となる見通しを示し市場予想を上回ったことから一時5.7%高となりました。ホンダも自動車の販売が世界的に回復し工場の稼働率が改善することなどで2024年3月期の営業利益が前期比で19.1%増となる見通しを示し市場予想を上回ったことから一時5.4%高となり年初来高値を更新しています。

また、同じく本決算を発表した神戸製鋼所(5406)も一時19.4%高となり年初来高値を更新しました。原料安で前期の在庫評価益が無くなり鉄鋼事業は減益となるものの、発電設備の新たな稼働に伴う電力販売の拡大などで電力事業の利益が改善することなどから2024年3月期の営業利益が前期比で73.7%増となる見通しを示し市場予想を大幅に上回ったことで買いを集めました。

サントリー食品インターナショナル(2587)も一時8.2%高となり年初来高値を更新しました。国内外で値上げが浸透したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で22%増となったことから大幅高となりました。

一方でソフトバンクグループ(9984)が一時5.5%安となりました。人工知能(AI)関連の企業に投資するビジョン・ファンド事業の苦戦が続いたことなどで2023年3月期の最終損益が9701億円の赤字となり2期連続で最終赤字となったことから大幅安となりました。さらにシャープ(6753)もディスプレーデバイスを中心に事業の収益性の低下に伴う減損損失を計上したことで2023年3月期の最終損益が2608億円の赤字となったことから8.7%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は261円高となりました。昨日の米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しかったこともあり朝方には昨日の終値近辺まで上げ幅を縮める場面もありました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると上げ幅を広げ9日に付けた年初来高値(29,242円)を上回りました。そのため地合いの堅調さが改めて意識されそうで、節目の29,500円回復への期待も高まりそうです。

なお、決算発表が佳境を迎えていますが、本日も引け後にはアサヒグループホールディングス(2502)や資生堂(4911)、楽天グループ(4755)、いすゞ(7202)、オリンパス(7733)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の23時には5月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)