東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に反発となりました。11円安の29,110円で寄り付いた日経平均は直後にプラスに転じ43円高の29,165円を付けましたが、伸び悩むと再びマイナスとなり9時30分前には93円安の29,028円まで下落しました。
しかし、節目の29,000円を割り込むことなく底堅さをみせると持ち直し、後場に入ると昨日の終値を挟んで小幅にもみ合う展開となりました。結局、日経平均は4円高の29,126円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表し市場予想を上回る見通しを発表した銘柄に年初来高値を更新するものがみられました。パナソニック ホールディングス(6752)は欧州でヒートポンプ式温水給湯暖房機の旺盛な需要が継続するうえ、電気自動車向けの電池などを自国で生産販売する企業を優遇する米国のインフレ抑制法(IRA)関連の補助金が利益を押し上げることなどから2024年3月期の営業利益が前期比で49%増となる見通しを示し市場予想を上回ったことで一時6.3%高となり年初来高値を更新しました。
富士フイルムホールディングス(4901)もヘルスケア・高機能材料を中心とした事業の成長や、各事業における収益性の向上などで2024年3月期の営業利益が前期比で6.2%増となる見通しを発表し市場予想を上回ったことから一時6.2%高となり年初来高値を更新しました。
楽天グループ(4755)も3.4%高となりました。傘下の楽天モバイルがKDDI(9433)回線の利用を拡大すると伝わったことで基地局建設の投資抑制による収益の改善を期待した買いが入りました。
一方で花王(4452)が一時7.3%安となり年初来安値を更新しました。油脂製品など原料を扱うケミカル事業が不振だったことに加え、日用品部門の販売が苦戦したことなどで第1四半期の営業利益が前年同期比で68.3%減と大幅な減益となったことから大幅安となりました。
本決算を発表した住友金属鉱山(5713)も一時12.3%安となり年初来安値を更新しました。円高や市況の落ち込みを背景に銅やニッケルなどで在庫評価損が発生することなどで2024年3月期の純利益が前期比で73.8%減となる見通しを示したことから売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は4円高となりました。米消費者物価指数(CPI)が市場の想定通りの結果となりインフレへの警戒感が後退し、米長期金利が低下したことでドル円が円高となったことから売りが先行しました。しかし、節目の29,000円を前に下げ渋ると持ち直しました。そのため29,000円近辺での底堅さが意識されそうで、9日に付けた年初来高値(29,242円)を上回って週末を終えることができるかがポイントとなりそうです。なお、決算発表が佳境を迎えていますが、本日も引け後にはホンダ(7267)やニコン(7731)、東京エレクトロン(8035)、KDDI(9433)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や4月の米生産者物価指数(PPI)が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)