4年に一度、この時期はにわかサッカーファンも巷に溢れ、寝不足の方も多いのではないでしょうか。昨夜の試合は微妙ではあるものの、決勝進出は嬉しいですね。頑張ってほしいものです!
サッカーの試合では得点すれば英雄ですが、負ければ犯人捜しをされます。金融市場でも常に犯人捜しが行われています。
何か急な変動があれば、「クジラが動いた」(クジラ=市場に大きな影響を与える巨額資金を動かす機関投資家、公的マネー等)「中国人が動いた」「ヘッジファンドが仕掛けた」等々。つまりは要因探しです。
経済指標や要人の発言といった伝統的に市場に影響を与えうる要因がない時でも、市場は突如として動き出します。そんな時、市場参加者はたとえ後付けであろうとも、「理由」が見えたと思うと納得し、今後の参考にしていくわけです。
ところが、どうしても何の要因も見つからず、かといってこれまでには考えられない動きが定番化してくることもあります。
・有事のドル買い→いまや市場リスクが高まればドル売り円買いです。
・円高=日本株安→必ずしもそうとは限らず、日本株が独自の動きをすることも多くなっています。
・日本株は米国株に連動→こちらも必ずとは言えないことも増えています。
・割安株選好(バリュー投資)→PERが高い割高株がより買われていることも多いです。
市場と向き合った経験が長い方ほど、こうしたイレギュラーな動きには反発を感じられるでしょうし、「たまたまだ」として無視することもあるかもしれません。
もちろん、本当にたまたま別要因でこうした状況になることはあると思います。でも世の中の動きそのものも、5年前、10年前とは大きく変わってきています。世界経済の勢力バランスも以前とは異なります。経験則に基づく判断は、「古い常識」に囚われてしまう可能性もあるのです。
それならば、伝統的な投資尺度となるものを学ぶ必要はないのか?といえば、それは基本として身に着けることは大切です。そもそも、そうした知識を持たなければ投資情報を読んで理解することもできないですよね。
にわかサッカーファンならぬ、にわか投資家やビギナーズラックを得た投資家は伝統的なものをまとめて「古い手法」として無視し、お互いの情報網だけで突き進もうとするケースがあるようです。SNSを駆使した情報交換等を否定する気はありません。そうしたことで投資のすそ野が拡がるのはとても良いことだと思いますが、こちらはこちらで偏った考えに傾いてしまうことも多々あります。
投資を行う上で、以下については少なくとも心掛けていただきたいと思います。
1.投資の基本、経済の基本はきちんと知識としてもつ。
2.実際の投資経験を積む。
3.世の中の動きにアンテナを張り、「新常識」も柔軟に取り入れ、情報を収集する。
頭を柔らかく、広く、新しいことも、伝統的なことも毛嫌いせずに受け入れた上で、誰かの後を追うのではなく、自分自身で判断・投資できるようになることを目標にしていきたいですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員