東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅続伸となりました。248円高の28,705円で寄り付いた日経平均は朝方の買い一巡後に伸び悩むと10時30分過ぎに41円高の28,499円まで上げ幅を縮めましたが、節目の28,500円をわずかに割り込んだところで切り返すと198円高の28,656円で前場を終えました。168円高の28,626円でスタートした後場の日経平均は13時に79円高の28,537円まで再び上げ幅を縮めました。
しかし、現状維持という日銀の金融政策決定会合の結果が発表されると上げ幅を大きく広げ一段高となりました。大引け間際に421円高の28,879円まで上昇した日経平均は結局398円高の28,856円で取引を終え4月18日に付けた年初来高値(28,658円)を更新しています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表した関西電力(9503)やマキタ(6586)が急伸し年初来高値を更新しました。関西電力は原子力発電所の再稼働が進んで稼働率が高まることや、液化天然ガス(LNG)や石炭など火力発電向け燃料費が減少することなどから2024年3月期の営業損益が黒字に転じ市場予想を大幅に上回る4100億円となる見通しを示したことから一時13.6%高となりました。マキタも前期に実施した在庫調整が一服することや、原材料高による価格転嫁も進むことなどで2024年3月期の営業利益が市場予想を上回る550億円になる見通しを示したことで一時21.6%高となりました。
また、同じく本決算を発表した富士電機(6504)も7.9%高となりました。パワーエレクトロニクスとパワー半導体が引き続き好調に推移することなどで2024年3月期の営業利益が市場予想を上回る940億円になる見通しを示したことで買いを集めました。
さらに山崎製パン(2212)も一時16.6%高となり年初来高値を更新しました。主力の菓子パン部門での売り上げが好調で第1四半期の営業利益が前年同期比で34.4%増となり、上期会社予想に対する進捗率が61.4%となったことから業績の上振れを期待した買いが入りました。
一方で信越化学工業(4063)が4.4%安となりました。2023年3月期通期の営業利益は住宅の配管などに使う塩化ビニール樹脂の販売が好調だったことなどで前期比で47.6%増と大幅な増益となりましたが、第4四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で3.2%減と減益に転じたことで大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は398円高となりました。昨日の米国市場が大幅上昇となったことから年初来高値を上回ってスタートしましたが、前場には「日銀が長期緩和の検証を実施し、先行き指針も見直しを検討する」と伝わると上げ幅を縮め節目の28,500円をわずかに割り込む場面もありました。
しかし、13時頃に現状維持の日銀の金融政策決定会合の結果が発表されると、一部には長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)が変更されるとの観測もあっただけに一段高となり年初来高値を上回り28,800円台に乗せて取引を終えました。そのため節目の29,000円回復への期待が高まりそうですが、来週は大型連休の谷間で営業日が2日しかないことや、連休中に重要イベントが目白押しとなっていることから様子見ムードが強いなかでの取引となりそうです。
なお、先週からスタートした決算発表が本格化しています。本日も引け後にはコマツ(6301)やソニーグループ(6758)、TDK(6762)、村田製作所(6981)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する3月の米個人消費支出(PCE)物価指数や1-3月期の米雇用コスト指数が発表されるほか、22時45分には4月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が、そして23時には4月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)