身の回りのお金全般の見直しは定期的にしましょう、と常々書いています。運用資産の見直し(リバランス)は少なくとも年に一度。実践しているか否かは別にして、ご存知の方も多いでしょう。ただ「身の回りのお金」には住宅ローンをはじめとする借入金も、ふだん忘れがちな保険も該当します。
今日のテーマは、貯蓄性のない、掛け捨ての保険も含めた「保険の再見直し」です。
家計診断などの家計の見直しでは、「払い過ぎの保険料」は真っ先にその対象になります。必要な保障内容を確認、保険を止めたり、加入し直したりする見直しが一般的でしょう。こうした見直しは通常、ライフプランに基づいたマネープランをシミュレート、一家の稼ぎ手に万が一のことがあったら・・・という想定で、残された家族がお金に困らずに生活するための必要金額を算出、足りない部分を生命保険で補うという流れです。
注目したいのは第三分野の保険と言われる、まだその歴史も浅い医療保険です。生命保険の特約ではなく、単体の医療保険として国内各保険会社が販売するようになったのは2001年のことです。そうした比較的新しい保険で、掛け捨てのものが多く、保険料も比較的安く、家計の見直しの流れで、特約を止め、新たに医療保険に加入し、そのままにしていらっしゃる方も多いでしょう。
生命保険(死亡保険)の医療特約といえば、入院、手術の際の保険金が給付されるというものが多く、確かにそれは医療保険の王道で、医療保険に入りなおした方も内容は同じというケースが多いかと思います。ところが、医療技術の進歩に伴い、そうした保障内容が現在の状況と合わなくなってきている部分があるのです。
たとえば、日本人の二人に一人はかかると言われる「がん」ですが、以前は長期に入院を強いられる病気という印象が強いものでした。ところが、がんの入院日数は、平成8年に46日であったものが、平成26年には19.9日まで短縮してきています(厚生労働省データ)。他の様々な病気を含めた入院も、同様にかなり短縮化してきています。入院保障、特に長期入院に重きを置き、入院4~5日目までは給付対象外といったタイプのものなど、実態と払っている保険料が見合うものか確認してみましょう。がんに関して言えば、通院、抗がん剤治療や放射線治療へとシフトしているようなので、入院保障だけのがん保険では本当に必要な保障はされないことになります。また先進医療を望まれるケースも多いようで、こうした部分を保障の対象と考えた保険に組み立て直すことで、無駄な保険料を払うのではなく、必要な保障に備えることができるでしょう。
保険も加入者の年齢や家族構成、世の中の仕組みの変化等に合わせて、必要な保障を取捨選択するように見直す必要があるものと考えましょう。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員