東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて小幅に反落となりました。67円安の28,590円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで107円安の28,549円まで下落しましたが、朝方の売りが一巡すると持ち直し9時40分過ぎにプラスに転じ10時に120円高の28,778円まで上昇し18日に付けた年初来高値(28,658円)を一時上回りました。しかし、その後伸び悩むと上げ幅を縮め再びマイナスとなり13時40分前に129円安の28,527円まで下落すると結局93円安の28,564円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
昨日の米国市場で決算を発表した半導体製造装置のラムリサーチ(LRCX)が今後の業績回復を期待した買いで7%を超える上昇となり、同業のアプライドマテリアルズ(AMAT)やKLA(KLAC)にも買いが波及した流れを受けて日本市場でも半導体製造装置銘柄に物色の矛先が向かいました。東京エレクトロン(8035)が一時3.5%高、SCREENホールディングス(7735)が一時5.7%高、アドバンテスト(6857)が一時5.2%高となったほか、昨日の引け後に決算を発表し第1四半期の営業利益が前年同期比で23.6%減となる見通しを示したディスコ(6146)も悪材料出尽くしから一時14.3%高となり上場来高値を更新しました。本日の14時に業績予想の修正を発表した東京瓦斯(9531)も4.3%高となりました。天然ガスの調達価格が想定していたほど高騰しなかったことなどで2023年3月期の営業利益の見通しを3310億円から4220億円に引き上げたことから修正発表後に上げ幅を広げました。「業務スーパー」をフランチャイズチェーン(FC)展開する神戸物産(3038)も一時4.9%高となり年初来高値を更新しました。粗利益率の改善などで3月の営業利益が前年同月比で8.0%増となり、昨年の10月以来5ヶ月ぶりに前年の水準を上回ったことから大幅高となりました。ハイデイ日高(7611)も一時3.9%高となり年初来高値を更新しました。創業50周年の記念配当を2024年2月期に実施し、中間配当を12円から17円に引き上げると発表したことで上げ幅を広げる場面がありました。
また、東京スタンダード市場では森下仁丹(4524)が一時20.0%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。ジェネリック医薬品として販売を開始した高脂血症用剤の売り上げが当初予想を上回ったうえ、原材料やエネルギー、労務費等の上昇分の価格転嫁を進めたことなどで2023年3月期の業績予想を上方修正したことから買いを集めました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は93円安となりました。冴えない決算発表を受けて企業業績悪化への懸念から昨日の米国市場が下落となったことで小幅に反落となりました。一時はプラスに転じ上げ幅を三桁に広げる場面もありました。しかし、年初来高値を超えてきたこともあって利益確定の売りが出て伸び悩むと売りが優勢となりました。来週は決算発表が本格化します。こうしたなかで決算発表を支えに年初来高値を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の本日22時45分には4月の米製造業PMI速報値が発表されるほか、21日の米国ではプロクター・アンド・ギャンブル(PG)などの決算発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)