東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に反発しました。134円安の28,472円で寄り付いた日経平均は直後に164円安の28,442円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時30分過ぎにプラスに転じ13時過ぎに87円高の28,694円まで上昇し、18日に付けた年初来高値(28,658円)を小幅に上回りました。その後、日経平均は伸び悩むと年初来高値を下回りました。しかし、28,600円を上回って推移すると50円高の28,657円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に下落となりましたが、新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
3月の訪日外国人客数(インバウンド)が181万7500人となりコロナ禍前の2019年3月の65.8%の水準まで戻したことから百貨店株が買われました。エイチ・ツー・オー リテイリング(8242)が一時4.9%高、J.フロント リテイリング(3086)が一時4.4%高、松屋(8237)が一時4.1%高、高島屋(8233)が一時3.9%高、三越伊勢丹ホールディングス(3099)も一時2.6%高となり、エイチ・ツー・オー リテイリングとJ.フロント リテイリング、高島屋が年初来高値を更新しました。
クボタ(6326)も一時2.4%高となりました。自己株式を除く発行済み株式総数の1.1%にあたる1300万株、200億円を上限とする自社株買いを実施することを発表したことで買いが優勢となりました。
八洲電機(3153)も一時11.0%高となり上場来高値を更新しました。プラント事業を中心に老朽設備の更新や設備の維持・保全案件など付加価値の高いエンジニアリング案件が第4四半期において好調に推移したことなどから2023年3月期の営業利益の見通しを26億円から28億円に上方修正したことで大幅高となりました。
NOK(7240)も一時24.6%高となり年初来高値を更新しました。中期経営計画中の資本政策と株主還元について発表し、2026年3月期までの3年間で総額675億円を下限とした株主還元を実施するとしたことで買いを集めました。
一方で本決算を発表した不動産運用のいちご(2337)が9.9%安となり年初来安値を更新しました。物件の売却益に連動した成果報酬が減り、太陽光や風力の発電所のメンテナンス費用が膨らむことなどから2024年2月期の営業利益が前期比で44.7%減となる見通しを示したことで売りが膨らみました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は50円高となりました。決算発表の一段の本格化を前に様子見姿勢が強く昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料に乏しいなかで利益確定の売りに押されて下落して始まりました。
しかし、節目の28,500円を割り込んだところで押し目買いが入り下げ渋ると、岸田文雄首相が海外からの投資促進策の一環として半導体などの分野でサプライチェーン確立の数値目標を盛り込んだアクションプランを月内にも示すと伝わったこともありプラスに転じ、一時は年初来高値を小幅に上回る場面もありました。そのため地合いの堅調さが改めて意識されそうです。
なお、3月決算企業の本決算発表がいよいよスタートします。本日は引け後にディスコ(6146)が決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や4月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されるほか、23時には3月の米景気先行指標総合指数や3月の米中古住宅販売件数が発表される予定です。さらに20日の米国ではアメリカン・エキスプレス(AXP)などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)