米国、英国、フランスがシリアを爆撃。北朝鮮との緊張関係が緩和したかと思えば、米中貿易戦争の不安と心配、次は武力行使・・・と米国発の経済、地政学リスクの荒波は止みそうにありません。攻撃の拡大・長期化による原油高、円高などの市場経済への影響が心配ですね。
さて、ここ数年よく耳にする言葉に「人生100年時代」というのがあります。
100年あれば色々な体験をするものです。今から100年前に生まれた方は、大正、昭和、平成と生き抜き、その間に関東大震災や第二次世界大戦などを経験されています。もちろん経済循環の大きな打撃や上がり下がりも。
私たちの周辺にも阪神・淡路大震災や東日本大震災を体験、被害に遭った方もいらっしゃいますし、誰にとっても今後の人生に、震災に限らず、壊滅的な出来事がないとは言い切れません。そう考えると、平穏無事に100年の長寿を全うできる方が奇跡的な幸せのような気もしてきます。
では努力は無駄なのか、といえば備えることにより多くの打撃の軽減は可能ですし、特に天災や戦争等の悲劇に巻き込まれずとも、陥る可能性がある「老後破綻」等の経済的に悲惨な状況は早めの準備により回避することはできます。
FPがライフプランニングを行う際には、通常平均寿命を目安にその年齢までは赤字にならない家計を目指していきます。平均寿命は100歳ではありませんから、すなわちプラン通りに収支が行われ、運用成果が上がっていても、もし想像以上の長寿、まさに「人生100年」となった場合には人生の最後で経済的に苦労する可能性もないとは限りません。様々な人生のリスクの中でも「長生きのリスク」というのは、実は大きいリスクでもあります。
そろそろ老後について考えようという方は、
現在の資産と年金だけで、長年にわたる急な支出には耐えられるのか、
医療保険は80歳までのもので本当に足りるのか、
家のリフォームを15年ごとに計画している場合、定年時に最後のリフォームをすればよいと思っていないか、
終活その他、頼ろうと思っていた「子」も高齢化していないか、
「おひとりさま」で人生100年になったら頼りの友人も高齢化するのでは・・・等々、
現在思っている想定をより一歩進めて考えてみると良いかもしれませんね。
元気で長生きな「健康長寿」が良いことは間違いありません。楽しく長生きをするためには経済的基盤は絶対的に必要になります。100歳まであるとすると、50歳で半分です。「もう半分」と考えるか、「まだ半分」と考えるかで長い人生への意識の持ち方も異なってきますよね。経済的基盤を盤石なものにするためには長期投資が有効ですし、そのためには「学ぶ」ことは欠かせません。「まだ」と考えて、思い立ったときから始める意識が「人生100年」に役立つのではないでしょうか。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員