東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて6日続伸となりました。164円高の28,321円で寄り付いた日経平均はさらに上げ幅を広げ10時40分前に358円高の28,515円まで上昇しましたが、節目の28,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと28,500円を割り込み276円高の28,433円で前場を終えました。278円高の28,435円でスタートした後場の日経平均はやや上げ幅を広げると14時50分過ぎに345円高の28,502円を付け28,500円をわずかに上回る場面もありました。しかし、前場同様に28,500円を上回ったところで上値が押さえられると28,500円を割り込み結局336円高の28,493円で取引を終えています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したファーストリテイリング(9983)が8.5%高となり年初来高値を更新し、日経平均を1銘柄で261円押上げました。販売が好調に推移しているほか、主力商品の値上げの効果もあり通期の営業利益の見通しを3500億円から3600億円に上方修正したことで買いを集めました。本決算を発表したローソン(2651)も6.2%高となり年初来高値を更新しました。新商品の開発などで国内既存店の販売を強化することや、海外事業の伸びが見込まれることなどから2024年2月期の純利益が前期の247億円を上回る290億円になる見通しを示したことや、年間配当を前期の150円から引き上げ200円にすると発表したことで大幅高となりました。楽天グループ(4755)も一時3.4%高となりました。子会社の楽天銀行の新規株式公開(IPO)にともなう公開価格が仮条件の上限の1株1400円に決まったことを好感した買いが入りました。Sansan(4443)も16.9%高となり年初来高値を更新しました。主力のオンライン名刺管理サービスが堅調に推移したほか、インボイス(適格請求書)管理サービスも伸びたことなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で2.3倍となったことで上げ幅を広げました。

一方で本決算を発表した東宝(9602)や久光製薬(4530)が売られました。東宝はアニメ作品を中心に制作費の償却負担が先行することなどから2024年2月期の営業利益が前期比で10.9%減となる見通しを示したことで一時5.1%安となりました。久光製薬も為替差益が減少することなどで2024年2月期の経常利益が前期比で9.0%減となる見通しを発表したことで一時3.0%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は336円高となりました。前月から低下し市場予想を下回った米卸売物価指数(PPI)を受けて米連邦準備理事会(FRB)が利上げを近く停止するとの観測が出て昨日の米国市場が大幅反発となったことで買いが優勢となりました。また、指数寄与度の大きいファーストリテイリングが急伸となったことで上げ幅を広げ節目の28,500円を小幅に上回る場面もありました。そのため地合いの堅調さが意識されそうですが、6日間で1,000円以上上げ利益確定の売りが出やすいなかで週明けにさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の本決算発表が続いています。本日も引け後には高島屋(8233)やヨンドシーホールディングス(8008)などが決算を発表する予定です。

また、日本時間の21時30分には3月の米小売売上高や3月の米輸出入物価指数が発表されるほか、22時15分には3月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が、そして23時には4月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。さらに米国では1-3月期の決算発表がいよいよスタートします。14日はJPモルガン・チェース(JPM)やシティーグループ(C)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)