東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日続伸となりました。62円高の27,985円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ安値に上げ幅を広げる展開となり、前引け5分前には191円高の28,114円まで上昇しました。その後一旦日経平均は伸び悩みました。しかし、大きく押すことなく高値圏で推移すると14時50分前に198円高の28,121円まで上昇し結局159円高の28,082円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が小幅に上昇となっています。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)が一時4.1%高となりました。孫正義会長兼社長が傘下の英半導体設計会社のアームの上場について今週中に米ナスダックと合意すると伝わったことを材料視した買いが入り上げ幅を広げる場面がありました。本決算を発表したJ.フロント リテイリング(3086)も一時3.3%高となり年初来高値を更新しました。水際対策の緩和で中国人訪日客が増え販売を押し上げることが見込まれることなどから2024年2月期の本業のもうけを示す事業利益が前期比で60.9%増となる見通しを示したことで買いが優勢となりました。

カラオケ店の「まねきねこ」などを運営するコシダカホールディングス(2157)も15.4%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、客足が回復したことによる好調な上期業績を反映し2023年8月期の業績予想を上方修正したことで買いを集めました。

また、カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の開設に向け大阪府・市が提出した整備計画を政府が認定する方向で最終調整していると伝わったことで貨幣処理大手の日本金銭機械(6418)や遊技場機器メーカーのオーイズミ(6428)に物色の矛先が向かいました。日本金銭機械が一時18.2%高となり年初来高値を更新したほか、オーイズミも一時16.6%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しています。

一方で大幸薬品(4574)が一時4.1%安となりました。空気中のウイルスや菌を除去できるとした「クレベリン」の表示や広告には根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁が大幸薬品に過去最高額となる6億744万円の課徴金納付命令を出したことを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は159円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が100ドル近く上げたことや、ドル円が引き続き円安基調にあることから買いが優勢となりました。寄り付きをほぼ安値に上げ幅を広げると節目の28,000円を回復し一日を通して堅調に推移しました。

しかし、3月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることから後場は様子見となり高値圏で小動きとなりました。その米CPIは日本時間の21時30分に発表となります。今後の金融政策を見極めるうえで関心が高いだけにマーケットの反応が注目されます。

また、13日の午前3時には3月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表も予定されておりこちらも注目です。さらに小売り企業を中心とした2月決算企業の本決算発表が先週からスタートしています。本日も引け後にはイオン(8267)やエービーシー・マート(2670)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)