平昌オリンピックの真最中です。ちょうど週末に羽生選手、小平選手が金メダルを取り、リアルタイムに感動した方も多かったことでしょう。喜びの涙、感動の涙は素晴らしいものですが、相場に翻弄されて泣く涙は、できれば流したくないものです。

ここ2週間の相場の乱高下には一喜一憂した人、損切りした人、静観した人、様々だとは思いますが、泣かされた人も少なくないはず。

 

一本調子で上昇してきた市場に調整が入るのは当然ですが、単なる調整で済むのか、大きな転換点になっているのかは専門家でも見極めが難しいのが通常です。過去の大きな転換点においても、その時々の大方の見方というものは新しい局面を否定し、トレンドの継続を示唆することが多かったものです。

 

今回の日米株価、為替、これらの値動きの最大要因と見られているのは米国金利です。

株価は本来、企業の業績が反映されて然るべきです。その業績発表が良ければ、経済は安定・盤石であるかというと、金利や為替の予想される動きとその影響を考え、終了した前期への評価以上に不安要素を感じられればその思惑で株価は下落します。

企業業績が良い→経済が安定・成長→利上げ

一般にこうした流れがあります。本来利上げがされると、金利差拡大によりその国の通貨が買われるというのがセオリーで、米国ではその利上げが確実視されていますが、ご承知の通り、現在逆の動き、利上げを意識した上での円高(米ドル売り)という現象が起きていますよね。

ここ最近の市場は、これまでの経済の教科書とは異なる動きを見せることも多くなっていて、その顕著な例が今回の動きでもあります。

 

過去においては「有事のドル」と言われた米ドルですが、今や市場ではリスク資産として認識され、米ドルが売られれば相対的に「安全な通貨」である円が買われるというのが新しいセオリーとなってきています。

各国中央銀行のように米国債という形で米ドルを保有していれば、リスク資産を減らすという判断での米国債の売却は、当然米ドル安のみならず米金利上昇になります。

 

市場において、新しい認識

「米ドル=リスク資産」

「米金利上昇=リスク上昇→米ドル売り(米ドル安)」

が定着すれば、投機筋がその流れに拍車をかけてきます。

米ドル売りの結果、相対的に円高となり、その結果日本株への打撃という悪循環につながります。もちろん米国株が下落すれば、反射的に日本株の下落につながっているという部分が大きいとも思いますが。

そのため、日本円も日本株も、米国の動きに追随せざるを得ない状況は変わりなく、まだ不安定な動きが続きそうです。

 

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー

CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員