先週、米国株式市場では、S&P500は0.1%下落、ナスダック100は0.9%の下げとなりました。4月7日(金)はイースター(復活祭)で株式の現物市場は休場でした。

米雇用統計を受け、追加利上げ観測広がる

このところの経済指標の発表を見るとFRB(米連邦準備制度理事会)が今後利上げを行う理由が減ってきていることがわかります。米労働省が発表した2月の求人労働異動調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数は、事前予想の1050万人に対し993万人となりました。

3月のISM製造業総合景況指数も予想47.6に対し、46.3ポイントへ下がっています。これは2月の47.7ポイントを下回っており、2020年7月来の低いレベルで、労働需要の低下を示すものです。3月のISM製造業雇用指数も46.9と発表されました。これは2020年7月来に低いレベルとなっています。

米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、2023年に入って発表されたレイオフ(一時解雇)数は270,416人と、前年同期比で396%増えています。

また、シリコンバレー銀行破綻後に行われた3月のダラス連銀の調査では、ローンのボリューム、特に消費者向けにおいて著しい減少を示しています。パウエルFRB議長によると、このような信用収縮はFRBの利上げに相当するとしています。

そんな中、4月7日(金)に発表された米3月雇用統計は、前月比23万6,000人増となり、市場予想の23万人を小幅に上回りました。これを受け債券市場では、6日(木)に3.31%だった10年債利回りは3.39%へと上昇しました。

このところの弱い経済指標を受け、利上げの必要性が減るだけでなく、今度はリセッションの懸念が広がっています。4月に入って下げようとしていた株式市場ですが、7日(金)のさほど悪くなかった雇用統計の発表を受け、この日取引が行われていた株式の先物市場は買われる展開となりました。

この日の雇用統計のデータを確認し、トレーダーは利下げの可能性は遠のいたと判断したようです。先物市場で、5月3日のFOMCで(米連邦公開市場委員会)25bpの利上げがあると思っていたトレーダーの割合は、雇用統計発表前25%でしたが、50%へと上昇しました。また、これまで利上げが停止するだろうと思っていたトレーダーの割合は、前日の67%から33%へと下落しました。

過去ネガティブガイダンスが多かった際、リターンが上昇したケースも

米国では今週から第1四半期の決算発表が本格化します。4月14日に決算発表を行うJPモルガン(JPM)を皮切りに、まず銀行業界の決算発表が始まります。今回の第1四半期の業績予想については、2022年6月末の時点では前年同期比で10%の増益予想でしたが、先週6日(木)時点では7.95%の減益へと12ポイントほど下方修正されました。

企業は、決算発表前に次回の業績見通しについてのガイダンス発表を行う場合があります。それは、特に業績発表が悪くなりそうな場合に行われる傾向にあります。業績発表前に、「今回の決算発表はこうなりそうです」とガイダンスを行うことでで、決算発表の際に投資家によるネガティブなサプライズをできるだけ抑えるためです。

金融データ会社のファクトセットによると、今回については4月6日現在、S&P500社のうち106社が事前ガイダンスを発表していますが、いつもよりネガティブガイダンスが多く散見されます。この106社のうち78社がネガティブガイダンスを、28社がポジティブガイダンスを発表しています。過去5年間におけるネガティブガイダンスの数は平均で57社、10年間の平均では65社です。今回ネガティブガイダンスが78社と、ここまで多いのは2019年第3四半期以来のことで、その時は81社でした。

一方、ポジティブガイダンスについては、これまでの5年間の平均で39社、10年間の平均で33社となっており、今回のポジティブガイダンスの水準は歴史的に低いものとなっています。セクター別に見るとITセクターと資本財セクターで最もネガティブなガイダンスが多くなっています。

このデータの集計が始まったのは2006年ですが、今回のデータはこれまでで4番目にネガティブガイダンスが多い四半期となっています。最もネガティブガイダンスが多かったのは2019年の第3四半期でした。興味深いのは、そのガイダンスの後、業績が発表された10月から12月までの3ヶ月間のS&P500のリターンは、8.53%上昇、ナスダック100については12.7%の上げとなっているのです。

つまり、ネガティブガイダンスが多いからといって、必ずしもその時期に株価が下がるという意味ではないということです。もちろん今回も同じことになると言うわけではありませんが、これは非常に興味深い結果だと思います。