米ドル/円 週間予想レンジ:132.50~135.00

メインストラテジー:押し目買い

・「銀行危機」を回避
・株高でリスクオンへ
・連動して続伸するか

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大きく反発し、一旦133.61円をトライした。再度安値更新を回避した上、一気に133円関門を回復したわけで、これから続伸しやすい地合いを示唆している。

もっとも、いわゆる「銀行危機」の懸念が行き過ぎであった。先週、その懸念がなくなると、欧米日株が揃ってV字型反騰を果たし、一転してリスクオンの傾向を示した。米金利の下落一服や切り返しもあって、米ドルも連動した切り返しを果たしたため、これから続伸の余地を拡大しやすいとみている。

もっとも、先々週までの急落は、想定より大きかった。米シリコンバレー(SVB)銀行破綻に続き、クレディ・スイス銀行の経営不安が一件落着と思われたが、リスクオフの動きが継続、米金利の続落と共に米ドル売り/円買いがさらに進み、一方通行の様子を強めた。129.65円の打診もあって、年初来の上昇幅の大半をさらに削り、3月8日の一旦高値更新自体が「ダマシ」だったことを証明した上、さらなる安値打診があってもおかしくなかった。

ただし、基本的には金融不安があっても、いわゆる「金融危機」ではなかった。米及びスイス当局は共に迅速な対応策を打ち出し、個別銀行の問題に関して金融システム全体への波及がないことも明らかだった。先々週にはドイツ銀行の問題も浮上してきたが、基本は同じ性質なので、2008年のリーマンショックのような金融危機の再来云々の話が大袈裟だった。米ドルの下値余地が限定されることも先週のコラムで解説した通りであり、先週の反発はそれを証明したとみている。

最近米金利の動向と連動、また先々週まで続いた米ドル/円の続落自体も米金利と同様、行き過ぎをさらに深めた。肝心の米10年国債利回り、22年国債利回りの急落、及びそのスピードが2008年の金融危機より早かったため、行き過ぎであったことを認識しておけば、先週の切り返しをむしろ当然な成り行きと見なせる。この意味合いにおいて、今週も米金利と連動した形で続伸しやすいと思われる。

一気に133円関門の回復もあって、3月24日の罫線が点灯したサインも明白になってきたとみている。同日の「スパイクロー」の陰線をもって一旦2月10日の安値を更新していたが、明らかに「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」であったことを示しており、一転して今後続伸の余地を示唆している。

なにしろ、3月22日の罫線は、大きな弱気サインとして解釈され、同日高値の133.01円のブレイクなしではあくまで安値圏での保ち合いに留まることが想定していた。先週一気に133円関門をブレイクし、同弱気サインを完全否定したところ、一転して続伸の蓋然性が示されたため、今週135円台の打診があってもおかしくないだろう。言ってみれば、大きな弱気サインの否定自体が強いサイと化すため、トレンド・フォローの視点において、素直に追随すべきである。

豪ドル/円 週間予想レンジ:88.50~90.50

メインストラテジー:レンジ取引

・「底割れ」の危機回避
・大きなサインの点灯も
・強含みのレンジ変動

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大きく切り返し、先々週の下落幅を取り戻した。その上、先々週の安値トライ自体が、「ダマシ」である可能性を示唆しており、検証はこれからではあるものの、少なくとも底割れを回避しており、保ち合いの先行が推測される。

もっとも、先週大きく続落し、一旦86.06円の安値打診をもって「底割れ」の様子を呈した。「底割れ」とは2022年12月安値の割り込みであるが、同基準で測るなら、そこから基調の一段悪化も覚悟していた。この意味合いにおいて、先週の切り返しは「危機一髪」のところで強気サインを点灯し、地合いのさらなる悪化を防いだ。

もっとも、米シリコンバレー銀行破綻の件に関して、豪ドルとの連動性は小さかったが、米ドル全体が反落した割には豪ドル対米ドルの浮上がみられず、逆に間接的とはいえ、円の急騰がみられたわけで、強気基調が大きく痛められた。従って、先週の底割れ回避があったものの、なお油断できない状況だろう。

ただし、先週一旦89.71円まで上昇、大きな強気サインを点灯し、これから再度底割れのリスクを大きく後退させた。なにしろ、3月15日の大陰線は、前後に対して「アウトサイド」や「インサイド」のサインを重ねて示し、その後の下値更新となったわけで、「底割れ」に繋がったとしてもサイン上の役割を果たしたことになったため、先週同日高値の89.51円を一旦ブレイクし、基調の変化を示唆した。

そもそも3月14日の大陰線が利いていたため、上値志向が完全に削られ、基調回復されるまでしばらく底値の再確認が必要であった。そのため、先週にて同日高値を一旦更新して、基調の好転を示す存在となり、少なくとも下値を追う段階ではないだろう。これから保ち合いの先行があれば、むしろ強含みで、今度の続伸に向けて土台を提供してくれるだろう。

実際、先週のコラムで底割れ回避の可能性も指摘していた。その指摘通り、その他の主要クロス円も一旦安値更新があったが、その後の値動きが参考になる。ユーロも、英ポンドも一旦「底割れ」になったものの、継続的なベアトレンドを形成せず、むしろ時間をかけて底値圏を形成したため、豪ドル/円もその可能性を有する。先週の切り返しをその前兆とみている。

ただし、底値圏における鍛錬は、ユーロも英ポンドも約2ヶ月もかかったため、目先としては性急な判断や行動を避けたい。とはいえ、大分遅れて2022年12月安値を一旦割り込んだだけに、豪ドルはすでにV字型回避を果たした可能性も大きい。いずれにせよ、弱気スタンスではなく、中立なスタンスで臨みたい。