【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 31,874.57  ▼280.83 (3/15)
NASDAQ: 11,434.05  △5.90 (3/15)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は経営不振に陥っているスイスの金融大手クレディ・スイスの追加出資に筆頭株主が応じない姿勢を示したと伝わったことで金融システムへの不安が改めて高まり反落となりましたが、ナスダック総合株価指数は長期金利の低下を受けてハイテク株の一角が買われたことで小幅に3日続伸となりました。395ドル安でスタートしたダウ平均は昼過ぎに725ドル安まで下落しました。

しかし、その後下げ渋るとスイス国立銀行がクレディ・スイスは必要な資本と流動性を満たしているが必要なら流動性を供給するとの声明を発表したことで引けにかけて下げ幅を縮めました。結局ダウ平均は280ドル安の31,874ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も27ポイント安の3,891ポイントとなりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5ポイント高の11,434ポイントとなっています。

2.経済指標等

2月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%低下となり上昇を見込んでいた市場予想に反して低下しました。また、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス24.6と前月から低下し市場予想も下回りました。2月の米小売売上高も前月比0.4%減となり市場予想を下回っています。さらに1月の米企業在庫は前月比0.1%減となり市場予想を下回りました。一方で3月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数は44と前月から低下しましたが市場予想を上回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が下げ、エネルギーが5%を超える下落となったほか、素材も3%以上下げました。また、金融も3%近く下落し、資本財・サービスも2%以上下げています。一方で5業種が上げ、コミュニケーション・サービスと公益事業が1%を超える上昇となっています。

4.個別銘柄動向

クレディ・スイス・グループの経営不安を受けて金融株が改めて売られました。シティーグループ(C)とモルガン・スタンレー(MS)、USバンコープ(USB)が5%以上下げたほか、JPモルガン・チェース(JPM)も4%を超える下落となりました。ゴールドマン・サックス(GS)とウェルズ・ファーゴ(WFC)も3%以上下げています。

中堅銀行株も大きく下げ、格付け会社のS&Pグローバル・レーティングが発行体格付けをシングルAマイナスから投機的水準のダブルBプラスに4段階引き下げたファースト・リパブリック・バンク(FRC)が21%余り下落し、パックウェスト・バンコープ(PACW)も13%近く下げました。また、原油価格の下落を受けて石油関連株が安く、エクソンモービル(XOM)が5%近く下落し、シェブロン(CVX)も4%以上下げました。油田開発のハリバートン(HAL)も9%安となっています。

一方で長期金利の低下を受けて主力ハイテク株の一角が高くネットフリックス(NFLX)が3%高となり、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も2%を超える上昇となりました。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(META)も2%近く上げています。

5.為替・金利等

長期金利は金融システム不安が改めて高まるなか相対的に安全資産とされる米国債が買われたことで0.24%低い3.45%となりました。こうしたなかドル円は円高となり133円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は金融システム不安が改めて高まっていることから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の27,000円を割り込みそうですが、朝方の売り一巡後に下げ渋るような動きをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)